岡田健史もドラマ史に名を残すか 北川悦吏子脚本作品の俳優たちとの共通点を探る
抜擢系にはすこし捻ったキャラで印象を強める一方で、すでに実績のある俳優は正攻法でいく。碧の幼なじみで、つかず離れず、なんでも素直に話せるゴンチャンは沢村一樹が真っ直ぐにいい人を演じ、どんなときでも碧を支えてくれそうな安心感を放っている。『オレンジデイズ』の妻夫木聡もこのタイプ。彼はヘレン・ケラーのサリバン先生のように、傍若無人なヒロインを支え続けた。どんなときでもヒロインを想い続ける姿は『あすなろ白書』(フジテレビ系)で木村拓哉が演じた取手もそうだった。
木村拓哉が演じた『ロンバケ』の瀬名、『ビューティフルライフ』の柊二は、どんなときでもヒロインを支えるけれど、あくまで対等、ライバルのような強さがある。『半分、青い。』の佐藤健演じる、律もそうだった。彼らのような対等さは、『ウチカレ』では岡田健史演じる入野光のなかに若干受け継がれているように感じる。
ベースは似ていても、演じる俳優の個性によってずいぶんとキャラが枝分かれしていくので、同じということではない。なんなら、光のちゃらいところは『ロンバケ』の真二的でもあり、瀬名+真二。『半分、青い。』の律+正人のハイブリッドとも考えられる。
隠れオタクでモテ大学生の光。ちゃらちゃらとたくさんの女の子と遊んでいるようで、本当に好きな人には振り向いてもらえず、自分の進路にもひそかに悩みを抱えている。同じ弱さと趣味を共有できる空とは対等に未来を見て行けそうな人物である。だからこそ、目下、『ウチカレ』では空と光のストーリーが強く走っていきそうな予感がする。
だが、たとえ東啓介と川上洋平が当て馬であろうとも、爪跡さえ残せれば次につながる。それに、視聴者の評判を鑑みながら脚本を若干変えているらしいので、場合によっては大逆転もあるかもしれない。意外な伏兵が現れる可能性も? なにしろ碧は「恋愛って刀を持つことだと思うんです」と言っているくらいだから、恋愛ドラマは「戦い」なのである。
■木俣冬
テレビドラマ、映画、演劇などエンタメ系ライター。単著に『みんなの朝ドラ』(講談社新書)、『ケイゾク、SPEC、カイドク』(ヴィレッジブックス)、『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』(キネマ旬報社)、ノベライズ「連続テレビ小説なつぞら 上」(脚本:大森寿美男 NHK出版)、「小説嵐電」(脚本:鈴木卓爾、浅利宏 宮帯出版社)、「コンフィデンスマンJP」(脚本:古沢良太 扶桑社文庫)など、構成した本に「蜷川幸雄 身体的物語論』(徳間書店)などがある。
■放送情報
『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00放送
出演:菅野美穂、浜辺美波、岡田健史、沢村一樹、川上洋平、有田哲平、中村雅俊、福原遥、大地伸永、長見玲亜、吉谷彩子、中川大輔、東啓介ほか
脚本:北川悦吏子
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:小田玲奈、森雅弘、仲野尚之(AX-ON)
演出:南雲聖一、内田秀実
主題歌:家入レオ「空と青」(ビクターエンタテインメント)
(c)日本テレビ
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