『アノニマス』がネット社会に問う“何と戦うべきなのか” 視聴者を驚かせ続ける“仕掛け”も

スーパーマンじゃない私たちがたいせつなものを守り抜く方法

 では、やはり「人の噂も75日」と、スルーするのが誹謗中傷の対策に一番なのだろうか。“指対”としても、被害者である亜里沙からの訴えがなくては捜査を継続することができない。しかし、状況を見過ごせない万丞は親告罪ではない別の角度から捜査が続けられるように室長に打診。まるで絡まった糸を解いていくかのように、1つずつ亜里沙を取り巻く環境を静止していく。

 その中には、亜里沙の婚約者・日下部翔平(田中俊介)が少年犯罪に巻き込まれた過去もあった。そして、日下部の情報が拡散されることを恐れた母親によって怪文書が作られていたことなど、それぞれの過ちが明らかになっていく。

 きっとこのデマ騒動がなければ、穏やかな日々を過ごしていたはず家族が、これほどまでに翻弄されてしまう。指1本で平和な日々を壊すことが可能なのだ。かつての幸せいっぱいな花嫁の笑顔は、確実に“指殺人”されてしまった。

 先週よりもバディ感が生まれつつある万丞と碓氷咲良(関水渚)の奮闘により、先のライターをはじめ悪質なデマを拡散した投稿者たちが立件することができた。しかし、最も拡散される誹謗中傷に効果があったのは、亜里沙を「守りたい」とそばにい続けた日下部や職場の仲間たち、そしてネット上に溢れた応援の声だったように思う。「1人じゃない」という支えこそが、何よりも求められる対策なのかもしれない。

 警察も、私たち1人ひとりも、大切な人を目に見えない悪意や、ネット社会の歪みから救い出せるスーパーマンじゃない。けれど、この社会で失ってはいけないたいせつなものを守り抜くために。できることは心理的に手を繋ぐこと、ということだろうか。

 そして、今回もアノニマスという匿名で警察内部しか知り得ない情報が裏K察サイトにアップされる。なぜ、こんなにもアノニマスによって情報が晒され続けるのか。その謎は深まる一方だ。また、飛び降りようとした亜里沙を見てすくんでしまった咲良の過去、そしてかつての相棒の冤罪をはらしたいと宣言する万丞の過去も然るべきときに明かされるはずだ。

 第1話では匿名になっていた主題歌「Anonymous (feat.WONK)」が、香取自身によるものだというサプライズがあったように。この作品はまだまだ私たちを「あっ」と驚かせてくれる仕掛けが待っている予感がしてならない。

■放送情報
『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』
テレビ東京系にて、毎週月曜22:00〜放送
動画配信サービス「Paravi」「ひかりTV」にて配信
出演:香取慎吾、関水渚、MEGUMI、清水尋也、山本耕史 シム・ウンギョン(特別出演)、勝村政信ほか
第2話ゲスト:深川麻衣、田中俊介
第3話ゲスト:紺野まひる、青木柚
オープニングテーマ:アイナ・ジ・エンド「誰誰誰」(avex trax)
監督:及川拓郎、湯浅弘章、大内隆弘
脚本:小峯裕之、玉田真也、入江信吾
音楽:山下宏明、丸橋光太郎
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:濱谷晃一(テレビ東京)、北川俊樹(テレビ東京)、合田知弘(テレビ東京)、稲垣護、佐藤満、高橋潤
制作:テレビ東京/ギークピクチュアズ
制作協力:ギークサイト
製作著作:「アノニマス」製作委員会
(c)「アノニマス」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/anonymous/
公式Twitter:@txdrm_anonymous
公式Instagram:txdrm_anonymous

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