劇団EXILEメンバー分析 Vol.7:小澤雄太

劇団EXILE 小澤雄太、『ウルトラマンジード』がもたらした三谷幸喜との縁 人望を集める人柄で飛躍

 その後、三谷は2020年の舞台、PARCO劇場オープニングシリーズ『大地』にも濱田とともに再び小澤を抜擢。PARCO劇場オープニング・シリーズでもあり、また緊急事態宣言中で感染対策をとり初日を迎えるという状況の中での舞台、しかも大泉洋や浅野和之、辻萬長などの経験ある先輩俳優たちと共演する作品で小澤は政府役員のドランスキーという役を演じた。ちなみに、ここでも眼鏡で七三の堅物そうな役である。

 本作はとある共産主義国家の収容所を舞台にしており、そこに反政府主義のレッテルを貼られた俳優が集められたという状況を描いている。そこで俳優たちが、自分たちの演技を、舞台を取り戻そうという物語の中で、小澤は演劇に対してまったく理解のない政府役員という役を演じている。それは、いわばほかの俳優たちとは相反する価値観の持ち主である。そんな小澤演じるドランツキーが、「俳優」たちの演技に翻弄されるシーンは、物語の転換点でもあり、ある種の見せ場でもあった。小澤と俳優たちの繰り広げる演技によって笑いを生んでいた。

 小澤は『ウルトラマンシード』のオーディションのときに「普通の人を演りたい」と語ったというが、そのことで道がどんどん開けているように思える。これからも、そうした視点で普通の人を演じつつも、たまにはまた以前のようなチンピラ役に帰っきてほしいとも思う。そのときには、また違った奥行のあるチンピラ役になっているのだろう。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

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