『おちょやん』女給キャストの吉川愛&阿部純子に注目 再びの朝ドラ出演で演技力の高さを実感
NHK連続テレビ小説『おちょやん』は、今週から京都編がスタート。主演の杉咲花演じる千代が住み込みで働く「カフェー・キネマ」の女給役として、女優の吉川愛と阿部純子が登場した。今注目の実力派女優を今作で知る方も多いと思われるので、ここで2人のキャリアや魅力について紹介する。
キネマの住み込み部屋で、千代と同室となる宇野真里を演じているのが吉川愛。吉川は、以前にも子役時代の吉田里琴名義でNHK連続テレビ小説『あまちゃん』に「アメ女」メンバー・高幡アリサ役として出演。キャリアも長いだけに、複雑な心理表現が上手い女優だ。特に印象的だったのが、ドラマ『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)の第8話。天才子役・安永メイ役で出演し、母親の留美子(小沢真珠)と縁を切る裁判を起こすというストーリーで、12歳にも関わらず、大人の男友達を家に連れ込みビールを飲むという、超売れっこ子役特有の破天荒な私生活を送り、弁護士の古美門(堺雅人)相手にも上から目線の生意気な子どもをリアルに演じた。最後に裁判で母親に思いを伝える迫真の演技は、娘としての本音なのか、母親思いの良い子を演じているのか、最後まで視聴者を惑わす熱演ぶりが素晴らしかっただけに、2016年4月に一旦芸能界を引退した時は、惜しむ声が後を絶たなかった。
しかし、2017年4月から吉川愛の名で、福士蒼汰主演ドラマ『愛してたって、秘密はある。』(日本テレビ系)で復帰。昨年は主演を務めた映画『転がるビー玉』で、モデルの卵として夢を追い続ける若者を儚げに演じ、ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)での新人ナース・酒井結華役では、ミスは多いが人情味あふれる上白石萌音演じる七瀬とは正反対に、優秀だが患者への対応はドライというある種ライバル的立ち位置に。大人になった吉川は、派手な演技ではなく、表情や仕草で視聴者に気持ちを勘づいてもらう演技が巧みな役者に成長。2021年は、1月11日から放送の『就活生日記』(NHK総合)で主演を務め、夏公開予定の映画『ハニーレモンソーダ』ではヒロインを演じるなど、今年ブレイクが期待される。
『おちょやん』では、富山出身で、家出をしてカフェーで働きながら女優を目指しているという設定。初登場時は、流暢な富山弁を披露し、女優のように美しくも愛嬌たっぷりで田舎っぽさが残る、まさに女優志望の女性の雰囲気を見事に表現。これだけキャリアがあるのに新人らしさを出せるというのも、演技力の高さを感じる。杉咲と吉川は、2013年のドラマ『夜行観覧車』(TBS系)で同級生を演じ、吉川がひたすら杉咲を虐めるという因縁の関係だったので、2人の共演は実に感慨深い。