『おちょやん』若村麻由美の眼光、声量、熱量が凄まじい! 杉咲花とは母娘役から師弟関係に

若村麻由美、『おちょやん』で強烈な存在感

 『おちょやん』(NHK総合)が第5週「女優になります」から京都編となり、「カフェー・キネマ」に、「山村千鳥一座」と日々、舞台が目まぐるしく移り変わっている。第24話では、女座長の山村千鳥(若村麻由美)、座員の薮内清子(映美くらら)が本格登場。特に千鳥の強烈なキャラクターを紹介する回となった。

 千代(杉咲花)にとって、岡安のシズ(篠原涼子)がもう一人の母親と言える存在であるのに対し、千鳥は役者の世界に飛び込む千代の最初の師匠となる人物だ。象徴的に描かれているのは、怒鳴り散らすわ、物を投げるわのインパクト大のその性格。

「寝ぼけてんじゃない!
「もう一度とか簡単に言うんじゃない!」
「何べんやったってあんたみたいなグズ、できるわけがない!」
「何言ってるか分からない! 何にも感じない! あんたのセリフより、赤ん坊の泣き声の方がよっぽど伝わる! あんた赤ん坊以下! 生まれ直してきなさい!」
「違う! 違う! 違う!」

 扇子に、紙にと周りにある物を辺り構わず投げまくる千鳥。鋭い眼光、声量、熱量に、ナレーションの黒衣(桂吉弥)までもが「はい、そうします!」と尻込みする始末。千代のように寝惚け眼から一気に目覚めたといった視聴者も多いのではないだろうか。

 演じる若村麻由美は、朝ドラ『はっさい先生』でデビューして以来、4回目の朝ドラ出演。『半分、青い。』では人気作家・佐野弓子を、『おちょやん』と同じ大阪朝ドラの『純と愛』では何の因果か怒鳴りまくる役柄を演じていた。今作ではそこに物を投げるというアクションが付け加えられている。思わず座員から悲鳴が上がるものの、よく見ると上手いこと扇子が手前で落ちたり、綺麗に紙が舞ったりとその加減も絶妙である。

 杉咲花とはドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)で母娘役で共演。今作では師弟の関係性で、その見た目も驚くほどに違っている。千鳥は千代に「こまごました雑用は得意そう」という理由から、「家の周りを注意深く一周する」「新聞の文字の間違いを見つける」「四つ葉のシロツメ草を探す」という「なんのため……?」という仕事を与え、自分はきっちり8時間寝るといった、つまり遠回しに稽古はつけないといった態度を見せる。人を寄せ付けないわがままな性格であるが、芝居への情熱は誰にも負けない。これからのストーリーでは、“孤高の女役者”としての顔が見え隠れしていく。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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