神木隆之介、声優としての活躍相次ぐ 『パラサイト』吹き替えから“猫”まで演じる多彩さを分析

多彩な経験を凝縮した神木の演技に注目

 今回神木が、家庭教師になりすました一家の長男・ギウの吹き替えを担当する映画『パラサイト 半地下の家族』は、韓国の鬼才ポン・ジュノの監督作品。韓国映画として史上初となるカンヌ国際映画祭パルムドール最高賞を受賞したほか、第92回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞という最多4部門を受賞するなど、世界各国で記録を塗り替えた爆発的ヒット作だ。

 映画『パラサイト 半地下の家族』の物語は、半地下住宅で暮らす貧しい4人家族が、豪邸に暮らすパク社長一家の生活に入り込み、その先で衝撃の光景を目撃するというもの。その計画のキーパーソンとなるのが、パクの長女の家庭教師を引き受けるギウだ。

 ギウは大学受験を何度も失敗しているものの、頭は良く指導力もあり、洞察力にも優れた好青年だ。しかし計画を淡々と家族に話すシーンは悪びれた様子もなく、そこにはどこか狂気じみたものを感じさせる。また父と息子の心温まる絆を感じさせる展開もあり、ギウの心境には、簡単に善と悪には分けられない複雑なものがある。

 神木はこれまでに、好青年や頭脳明晰で頭のキレる役だけでなく、悪役も演じた経験がある。そうした様々な役柄で得た経験値が、ギウという役に、果たしてどのように反映されるのだろうか。また、これまで声の演技は少年役ばかりだったが、現在27歳になった神木が、20代のギウという青年をどのような声で表現するのかにも、興味がそそられる。神木のキャリアにまた一つ、新たな代表作が加わることになるだろう。

 ちなみにギウが家庭教師をするパク・ダヘの声を、人気声優の早見沙織が担当する。神木が演じるギウがどのようにしてダヘを取り込み、パク家を掌握していくのか、作戦の巧妙さとその先に待ち受ける展開は何度観ても衝撃的だ。

■榑林史章
「山椒は小粒でピリリと辛い」がモットー。大東文化大卒後、ミュージック・リサーチ、THE BEST☆HIT編集を経て音楽ライターに。演歌からジャズ/クラシック、ロック、J-POP、アニソン/ボカロまでオールジャンルに対応し、これまでに5,000本近くのアーティストのインタビューを担当。主な執筆媒体はCDジャーナル、MusicVoice、リアルサウンド、music UP’s、アニメディア、B.L.T. VOICE GIRLS他、広告媒体等。2013年からは7年間、日本工学院ミュージックカレッジで非常勤講師を務めた経験も。

■放送情報
『パラサイト 半地下の家族』
日本テレビ系にて、1月8日(金)21:00~23:34放送 ※放送枠40分拡大
監督・脚本:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ、チャン・ヘジン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ソンギュン
チョ・ヨジョン
声の出演:山路和弘、神木隆之介、津田真澄、近藤唯、恒松あゆみ、東地宏樹、早見沙織、小林由美子
(c)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる