野木亜紀子と考える、『逃げ恥』が愛される理由 「“ムズキュン”は、距離感への切なさ」

野木亜紀子と考える、『逃げ恥』が愛される理由 「“ムズキュン”は、距離感への切なさ」

 『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系、以下『逃げ恥』)4年ぶりの続編、『新春スペシャルドラマ『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』が1月2日に放送される。

 海野つなみ原作の同名漫画を、2016年に連続ドラマ化した本作は、派遣切りにあった高学歴女子・みくり(新垣結衣)と、プロの独身を貫くエンジニア・平匡(星野源)との、雇用関係としての契約結婚を描き、大きな話題を呼んだ。

 お互いにとってメリットのある形としてとった契約結婚だったが、共に生活をしていくうちに愛情が芽生えていく姿に“ムズキュン”する視聴者が続出。「やりがい」や「好き」の搾取からも目をそらすことなく話し合いながら、本当の夫婦になっていく2人に、多くの支持が集まった。

 また、価値観が多様化していくなかで、キャリアウーマン、シングルマザー、セクシャルマイノリティたちの生き方も優しく描かれたのも、『逃げ恥』らしいところだった。時代の変化に応じて価値観をアップデートしていくヒントが詰まっている本作に続編を望む声が絶えず、今回の新春スペシャルドラマはまさにファン待望の続編といえる。

 そんな本作の脚本を務めているのは、『MIU404』(TBS系)、『獣になれない私たち』(日本テレビ系)、『アンナチュラル』(TBS系)など数々の話題作を手掛けてきた脚本家・野木亜紀子。今この瞬間だからこそ問うべきテーマをテレビドラマを通じて発信してきた野木が、スペシャルドラマで何を訴えていくのかを聞いた。

自粛期間中の再放送で繋がった、2020年と『逃げ恥』ワールド

――今回、スペシャルドラマの制作が決定したときのお気持ちはいかがでしたか?

野木亜紀子(以下、野木):ずっとプロデューサーの那須田淳さんから「やりたい」と言われていたんですが、原作漫画の連載も終了していたので「無理でしょ!」と言っていたんですよね。そうしたら、海野先生が続編を描かれたので、“これは本当に続編をやらねばならないのかもな”と覚悟はしていました。

――原作漫画の続編を読まれたときは、どうお感じになりましたか?

野木:なるほど、こうきたかという感じですね。やっぱり海野先生は、今このときに必要なものを描かれる方なんだなと思いました。

――どういったお気持ちで脚本を書き始められたのでしょうか?

野木:『逃げ恥』はたくさんの方に愛された作品なので、そのぶん期待も大きいもの。やっぱりファンの方を裏切るような続編にはできないなという思いと、みなさんの夢を壊さず楽しく見ていただけるものを作ろうという思いがありながらも、海野先生の続編を見て“なかなかこりゃ荷が重いな”というのも本音としてはありました(笑)。そんななか、今回コロナ禍にエンタメが止まった際に、『逃げ恥』が火曜22時から再放送されて、あの時間に恋ダンスが流れて、出演されたキャストの方もリモートで参加されて……新垣さんや星野さんが現在の姿で「恋ダンス」をしている姿をみることができて、シームレスに受け入れられるような気がしました。もちろん状況としては全く喜べないのですが、スペシャルドラマに向けての流れができたというか、「ああ、これは大丈夫かもな」と書く気持ちのハードルが少しだけ下がったのを覚えています。

――『逃げ恥』といえば、社会にある様々な違和感を見逃さず、みくりと平匡が話し合うところにあると思います。今回、描く上で難しかった要素はありますか?

野木:海野先生が、ホモソーシャルと男性の辛さに切り込んでいた続編だったので、それはドラマでも描きたいと思っていたんですが、短い尺で表現するのはかなり難しかったです。それから、みくりと平匡の子育てについても、夫婦で一緒にやらなきゃいけないものだけど、それはそれで追い詰められる人もいるかもしれないので、そこのバランスを取るのは苦戦したところです。本音を言えば、今回初登場したゆりちゃん(石田ゆり子)の同級生・花村伊吹(西田尚美)の恋人も出したかったんですが、残念ながら尺が足りず……。そのあたりは、ぜひ原作を読んでいただけたらと思います。

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