2020年の傑作『光秀のスマホ』を見逃すな! 歴史×バラエティ×ドラマが掛け合わされた新感覚の作品

 第1、第2、第3話……と毎日放送時間が待ち遠しかった。第1話で、光秀の声を明かさず、第2話で秀吉は顔出しし、第3話で、山田孝之と信長の声が明かされるという、小出し感も考え抜かれていた。こうしてすっかりハマって、楽しくなっての後半戦は、空気がガラリと変わる。調子の良かった光秀の旗色が悪くなっていくのは、史実がそうなのだから当然そうなるとわかっていたはずが、あまりに前半が楽しかったので、え⁉ となった。すっかりネタバレしている歴史を、このようなサプライズに鮮やかに塗り変える演出の巧さ。第4、第5、第6話はもうアメリカン・ニューシネマのような転がり方をする。みごととしか言いようがない。

 脚本は『山田孝之のカンヌ映画祭』、『サ道』、ドキュメンタリードラマ『このマンガがすごい!』(いずれれもテレビ東京ほか)などユニークな作品を手掛ける竹村武司。演出は『名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!』(NHK総合)などの田中涼太。制作統括は『チコちゃんに叱られる!』(NHK総合)の水高満。このスタッフを見ると、ドラマの出来の良さにナットク。

 歴史バラエティとドラマ、歴史とフィクションが掛け合わされた、新感覚のエンターテインメントに新展開。12月25日に『光秀のスマホ 歳末の陣』として、放送済の全6話に、秀吉視点が追加されて、18分拡大バージョンが放送される。秀吉の妻のおね役を田中みな実、秀吉の愛人・南殿役に小島みなみと、Wみなみで歳末の陣は華やかさが増しそうだ。

※島崎信長の「崎」は正しくは「たつさき」
※水高満の「高」は正しくは「はしごだか」

■木俣冬
テレビドラマ、映画、演劇などエンタメ系ライター。単著に『みんなの朝ドラ』(講談社新書)、『ケイゾク、SPEC、カイドク』(ヴィレッジブックス)、『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』(キネマ旬報社)、ノベライズ「連続テレビ小説なつぞら 上」(脚本:大森寿美男 NHK出版)、「小説嵐電」(脚本:鈴木卓爾、浅利宏 宮帯出版社)、「コンフィデンスマンJP」(脚本:古沢良太 扶桑社文庫)など、構成した本に「蜷川幸雄 身体的物語論』(徳間書店)などがある。

■放送情報
『光秀のスマホ 歳末の陣』
NHK総合にて、12月25日(金)22:00~22:48放送
出演:山田孝之、和田正人、島崎信長、田中みな実、小島みなみ
写真提供=NHK

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