田中みな実登場に、『ヤッターマン』オマージュも 『ルパンの娘』波乱だらけの展開に

 前回のラストで、逃亡する姿を何者かによって写真に収められてしまい、生きていることが知られる緊急事態に陥った“Lの一族”。その写真を撮った相手は、かつて“Lの一族”と戦った女泥棒の双葉美羽(田中みな実)。個性的なキャラクターばかり登場する本ドラマのなかでも、ひときわのインパクトのある敵が再登場を果たした11月12日放送の『ルパンの娘』(フジテレビ系)第5話。しかしそんな敵役以上に、今回三雲一家に降りかかるハプニングのインパクトたるや。

 美羽のアジトへ潜入し、“Lの一族”が生きているという証拠を隠滅することを計画する尊(渡部篤郎)たち。しかし、前回の戦いの際に華(深田恭子)と尊は顔を見られてしまっており、厳重なセキュリティが敷かれているであろうアジトにそのまま潜入するのは難しいと考える。そこで渉(栗原類)が新たに開発した、人と人との意識を入れ替える秘密道具を装着する“Lの一族”の面々。そのせいで、翌朝目が覚めた華はマツ(どんぐり)と入れ替わってしまい、しかも装置の不具合によって元に戻れなくなってしまう。そして運悪く、中身がマツの華は美羽の一味に連れ去られてしまうのだ……。

 “入れ替わり”という、極めてオーソドックスなファンタジー展開を繰り出した今回のエピソード。しかもあえて、近年の“入れ替わり”映画の代名詞たる『君の名は。』の名を出さずに、往年の名作である大林宣彦監督の『転校生』であることを強調するあたりはいかにもこのドラマらしい。ちなみに今回の劇中には、“ドロンジョ様”と呼ばれる美羽の一味が自転車を漕ぐという、まんま『ヤッターマン』のオマージュをやってのけたり、『ルパン三世 カリオストロの城』のラストの名言の再現、円城寺(大貫勇輔)が現れるミュージカルシーンでは『ラ・ラ・ランド』や『オズの魔法使い』を彷彿とさせる要素を加えるなど、いつにも増してパロディの切れ味は抜群ときた。

 もちろん、華がマツになってマツが華になったことを、和馬(瀬戸康史)や娘の杏(小畑乃々)に隠すことによって生じる絶妙にハラハラさせられる展開も今回のコメディ要素を大いに盛り立てていたことも見逃せない。木馬に乗ったり腰にコルセットを巻いて現れたり、挙句小学校の施錠された門を「お茶の子さいさいやー!」と開けてしまうという、深田恭子の弾けた演技。一方で、普段の華のようなしおらしい表情を見せたり、アジトに乗り込んでいく際の衣装替えのイメージカットで凛々しい表情を見せるどんぐり。笑いを生めるだけ生んで、何の前触れもなく元に戻ってしまうだけでなく、正しい状態の華と和馬が見せる、息の合ったダンスで愛情の深さを示しながら美羽を倒すくだりも実に痛快だ。

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