三宅裕司が語る“舞台”へのかけがえのない想い 「生きてる限りやらなきゃいけない」

満席のお客さんがドッと笑ったときの快感

ーーコロナ禍を経て表現が変わりそうなところはありますか?

三宅:全くないですね。ただコロナ禍における満席でない客席、まして無観客での配信というスタイルは笑いの劇団にとっては非常にやりにくいと感じています。劇場で1000人が一緒にたったひとつの笑いを共有してドッと笑ったときの興奮を目指して舞台を創っています。客席で大爆笑が起き舞台上の役者のテンションが上がったことによって、その日しか観られないようなステージになる。それがたまらないわけです。だから昔は「立ち見席まで満席にしないと笑いの舞台はできないんだ」と制作に「とにかくお客さんを入れてくれ、ステージ数を減らしてでもいいから満席にしてくれ」と頼んでいたくらいなんですよ。それが今回、客席半分のお客さんで最高のテンションになれるかは、実際にやってみないとわからなくて、「あれ? いつもならドッとウケるのに」という肩透かしを乗り越えて自分で乗っていかなきゃいけないものになるかもしれません。

ーーやはり笑いは配信だけではできないものですか。

三宅:3分の1のお客さんでは3分の1のお客さんの熱気しか伝わらないですからね。配信するのであれば、例えば3分の1でもいいからお客さんを入れて、そのお客さんがドッと笑った声を3倍に重ねて放送し、観ているお客さんに劇場の盛り上がりを感じてもらうというような方法になるかもしれないですね。せめて“配信だけは満席の感動”を味わっていただきたいというような逆転現象が生まれるかもしれないですね。

ーー観客である我々もいつもの倍笑う必要があるかもしれませんね。

三宅:「お客さんが半分しかいないから2倍のパワーで笑ってくれ」というのはお客さん大変だと思うんですけれども(笑)。

ーー普段からどんな状況も「前向きに楽しむ」という頭の切り替えをされているんだな、と感じます。

三宅:大学まで親に出してもらってね、全然給料のない劇団なんか作っちゃって(笑)。親に申し訳ないと思うんですよ。でも、そこまでやるだけの魅力がなんかあるんですよね。「舞台上で自分の一言で満席のお客さんがドッと笑ったときやカーテンコールで大きな拍手をいただいたときの快感」に代わる生きがいが見つからないんですよね。これをやり続けたいから何とかいろんな工夫をしていくんでしょうね、これからも。

関連記事