『親バカ青春白書』はまさに令和時代のホームコメディ “懐かしさ”と“今どきっぽさ”の共存

 当然、「今の風」も仕込んである。寛子とさくらが新歓コンパで薬物を盛られ、あやうく“ヤリサー”の男たちの餌食になりそうになるエピソードや、大学生のかたわらYouTuberとして稼ぐ根来などは極めて今日的だし、そもそも娘と同じ大学に入ってきちゃう、言ってみればかなり“あたおか”なガタローとすんなり打ち解ける彼らの柔軟さも(もちろんガタローのキャラによるところが大きいが)、多様性を受け入れやすい現代の若者らしさを表している。

 昭和・平成のドラマでは、世代間ギャップから抗いや闘いが生じ、そこから物語が生まれたものだが、このドラマにはそういった「隔たり」が存在しない。「友達親子」という言葉が聞かれて久しい今日のドラマらしく、ガタローはさくらや大学の仲間たちと常に同じ目線だ。いっしょに学生生活を謳歌し、いっしょにバイトもする。というか、彼らより子どもっぽいところもあったりして、ときに諌められたりもする。「とりま」「あたおか」「レベチ」など若者言葉を教わって早速ものにし、四十路の学生生活で得たネタを生業である小説にも活かす。“懐かしドラマ”の「主人公が演説して落着」というフォーマットを踏襲しつつも、ガタローが決して先生目線でも親目線でもなく、20歳の彼らより少しばかり人生経験が多いだけの「友達」目線で語る点も“今っぽい”。

 メッセージ性や“意味”的なものを極力排除した、全話通してゆる〜いコメディ。だが、ガタローの生き方や、彼が大学生たちに語る言葉が訴えるのは「周りの目に臆することなく、あなたはあなたらしく生きようぜ」ということなのかもしれない。これもひとつの“令和ドラマらしさ”だ。

■佐野華英
ライター/編集者/タンブリング・ダイス代表。ドラマ、映画、お笑い、音楽のほか、生活や死生観にまつわる原稿を書いたり本を編集したりしている。

■放送情報
『親バカ青春白書』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:ムロツヨシ、永野芽郁、中川大志、今田美桜、戸塚純貴、小野花梨、谷口翔太、野間口徹、新垣結衣ほか
脚本統括・演出:福田雄一
脚本:穴吹一朗ほか
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:高明希、鈴木大造(クレデウス)
協力プロデューサー:白石香織(AX-ON)
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/oyabaka/
公式Twitter:@oyabaka_ntv

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