織田裕二×鈴木保奈美の『東京ラブストーリー』コンビに感動 『スーツ2』模擬裁判の行方は?

 第4話から描かれてきた、コースタルモーターズ訴訟をめぐる甲斐(織田裕二)の不正隠蔽疑惑。幸村(鈴木保奈美)が甲斐の代理人弁護士に名乗りをあげ、甲斐の弁護士資格剥奪という和解条件について富樫(高嶋政宏)と交渉を行うが破談。そして上杉(吉田鋼太郎)は、裁判に進む前にファーム内で模擬裁判を行うことを提案するのだ。8月24日に放送された『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)第7話は、ほぼ密室で展開される完璧な“模擬裁判劇”。弁護士ドラマでありながらも裁判シーンがほとんどない本作ではなかなか見られないタイプの緊迫感を楽しめると同時に、各々のキャラクター、とりわけ甲斐の内面を描く充実したエピソードであった。

 模擬裁判をすることによって裁判で勝ち目があるかを証明し、シニアパートナーの投票で裁判か和解かを選ぶという上杉の提案を受けて、幸村は原告側に富樫のように卑劣なやり方をする弁護士が必要と考え、蟹江(小手伸也)に白羽の矢が立つ。そんな蟹江はパートナーとして大輔(中島裕翔)を引き入れ、甲斐の性格を利用するという秘策で挑むことに。一方で、ファームを辞めた玉井(中村アン)に、模擬裁判での証言を頼む甲斐だったが、あえなく断られてしまう。そしてとうとう模擬裁判の火ぶたが切って落とされることに。

 序盤から被告側代理人である幸村を証人申請したり、証言のために突然現れた玉井に対して全力で富樫さながらの卑劣な追及を繰り出す蟹江。さらに「やりすぎ」だと嗜める甲斐に対して、普段はクールに振る舞う蟹江が「君を助けるためだ」と激昂する姿。そして直球ど真ん中の質問で、甲斐の検事時代の不正を掘り返す大輔は、裏では甲斐を救うために富樫が関わった案件の資料を洗いざらい調べ、逆に富樫の不正を握ろうという忠誠心を見せる。そんな大輔を巧く利用しようと近付く上杉。これは一から十まで見事に練り上げられた、まさに先週のエピソードからさらに強力になった総力戦ではないか。

 そして甲斐のハーバード時代の唯一の“負け戦”を例に挙げながら、その強がりの仮面をゆっくり一枚ずつ剥がしていく幸村。本当はクライアントや同僚を思いやる人間であるという、長年甲斐を信頼して見守りつづけてきた幸村だからできる一連の弁護の末に、「思いやりがある。それがあなたの本当の強さ。思いやりがない人こそ、弱い」と上杉を一瞥することも忘れていない抜かりなさ。甲斐が弁護士としても人間としても優秀であることと、彼の内面に隠された部分を愛嬌たっぷりに呼び起こす幸村の姿。Season1の頃からここぞというタイミングで輝いてきた、織田裕二と鈴木保奈美の『東京ラブストーリー』コンビの相性の良さは、あまりにもドラマティックである。

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