“時代性”が色濃く現れる!? 『MIU404』『わたナギ』など、人気ドラマの背景にある女性Pの存在

 人気ドラマの続編を除き、今期ドラマの話題を独占状態の『MIU404』と『私の家政夫ナギサさん』(いずれもTBS系)。この2作の大きな共通点として、“時代性”が色濃く現れるという存在がある。

 いま、ドラマ好きには“役者よりも脚本家で選ぶ”という人が多いだろう。しかし、プロデューサーに着目してみると、一見ジャンルは全く異なる作品でありつつも、知らず知らずのうちに自分が好んで観ていたドラマを手掛けているのが同じプロデューサーだということに気づくことがある。特に女性プロデューサーの作品は、そうした傾向が強い気がする。

『MIU404』(c)TBS

 冒頭の『MIU404』の新井順子プロデューサー(以下、新井P)の場合、『MIU404』の他、これまで『わたし、定時で帰ります。』『アンナチュラル』『中学聖日記』『リバース』『Nのために』『夜行観覧車』(全てTBS系)などなど、数々の話題作やヒット作を手掛けてきた。こうしたラインナップを見て「どれも好きな作品ばかり」と感じる方は多いのではないだろうか。

 新井Pの場合は、様々なインタビューで語っているように、自身が小学生の頃から変わらぬ「ドラマ好き」。舞台などが好きだった母親によく連れて行ってもらった影響も物語好きの土台にはあるようだが、基本的に「視聴者目線」で自分が観たいと思うものを作っていることが、多くの共感を得るのだろう (参照:新卒採用2021|TBS SPARKLE|PEOPLE)。

 原作がある作品を手掛けることも多いが、その大胆なアレンジの仕方も魅力の一つだ。特に唸らされたのは、『わたし、定時で帰ります。』でのユースケ・サンタマリア演じる“ブラック上司”の描き方。

 原作では完全な悪として描かれていたのに対し、ドラマでは「夜遅くまで働いて、仕事にすべてをかけることに喜びを持つ人もいる」ことを否定しない。様々な世代・立場の人の価値観の衝突を描きつつも、「誰も悪くない」「何が正しくて、何が正しくないなんてものはない」として視聴者一人一人に判断を委ねたのは、新井P自身の采配によるものだった。

 ちなみに、最初は助監督をしていたが、腰を悪くしたことを機に、何をやりたいか考えたとき、どんな物語をドラマ化するかということや、その配役などを考える仕事のほうが楽しいと気づき、プロデューサーに転向したという経歴も面白い。

『私の家政夫ナギサさん』(c)TBS

 逆に、『私の家政夫ナギサさん』の岩崎愛奈Pは、まだ名前を知らない人も多いのではないか。これまで『プリズンホテル』(BSテレ東)や映画『家族のはなし』などを手掛けてきたが、あまりデータがない。調べてみたら、2017年にドリマックス・テレビジョン(現TBSスパークル)に入社したばかりという新星だ。

 岩崎Pの場合、自身が結婚した途端、家事は女性がやるべきだという潜在意識が現れ、しんどい思いをしたこと、生活と仕事の両立の大変を実感したことが、このドラマに生かされているようだ(参照:「家政夫ナギサさん」に見る女性たちの今の本音|東洋経済オンライン)。

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