『MIU404』は一挙手一投足に宿るスイッチに寄り添う 星野源が抱える“しなかった”ことへの後悔

 あのとき、ああしてれば……私たちが目を背けたくも繰り返し蘇る脳内映像の正体は、いつだって“しなかった”ことへの後悔だ。金曜ドラマ『MIU404』(TBS系)第6話のタイトルは「リフレイン」。志摩(星野源)が「何度も何度も何度も何度も」心の中で叫び続けてきた過去が解き明かされる。

 「相棒殺し」そう志摩のことを呼ぶ人がいることを知った伊吹(綾野剛)は、相棒としてその真相を探る。直接、志摩に聞いても“刑事なら自分で調べろ”と一蹴されてしまった伊吹。そんなことでへこたれずに、プライドをくすぐる形でエリート新人の九重(岡田健史)の協力を仰ぎ、臨時のバディが誕生した。

 当時、初動捜査を担当したのは、桔梗(麻生久美子)と陣馬(橋本じゅん)。面白半分で話すことじゃない。余計なことを広めるな。志摩と一緒に傷ついた2人は、頑なに口を閉ざす。それでも伊吹は知りたいと願った。志摩の心を巣食う絶望を。銃口を向けられても死を恐れないほどの重い何かを、相棒として一緒に担ぎたかったのだ。

「俺が、4機捜に来たのがスイッチだとして……玉突きされて入った俺が、404で志摩と組むことんなって、2人で犯人追っかけて、その一個、一個、一個、全部がスイッチで。なんだか人生じゃん? 一個、一個大事にしてぇの。あきらめたくねぇの。志摩と全力で走るために」

 以前、志摩が九重の前で玉を転がしてみせたピタゴラ装置。九重は、志摩がその落ちた玉のようになったのではないかと考えた。状況的に見て、おそらく多くの人が「きっとそうだ」と思い込むはずなのだ。捜査一課のメンバーがそう睨んだように。そして、桔梗も陣馬も深追いしないことで、落ちたのかもしれない志摩をそっと見守ろうと決めていたのだろう。

 だが、伊吹は落ちた玉ではなく、落ちる前の分岐点(スイッチ)に目を向けた。この視点の違いこそが、志摩が感じていた「俺らにないところ」。数の論理に流されることなく、かといって相棒の志摩に肩入れした幻想を抱くわけでもなく。自分自身でファクトチェックをするまで、真実を決めつけないというフラットさ。

 「誰に出会うか、出会わないか」ピタゴラ装置を前に話していた志摩の声がリフレインする。今回、伊吹と行動を共にしたことは、九重にとってもスイッチになった。局長の息子というステータスに全くこびようとしない伊吹。むしろ目的のために積極的に利用していく。そんなしたたかさに触れ、九重の心の鎧が少しずつ脱がされ、気づけば伊吹の置きウエア姿に。

 「大学生みたい」と桔梗に言われて、改めて九重がきっちりしっかりしようとしていたのかに気付かされる。九重は、いつも“局長の息子”として、できる自分でなければならないと武装していたのだろう。カジュアルな装いに身を包めば、年相応の無邪気さがにじみ出る。伊吹と話すことで少しずつ出てしまう方言に、彼の心が裸になっていく。