ジム・キャリーはアニメーションと実写の境を超える “原形質性”から考える“デジタル時代の俳優”

デジタル時代の芝居の価値

 ジム・キャリーの肉体は唯一無二だ。ゴムのようにしなやかな肉体と表情筋で、軽やかに実写とアニメの境界を超える彼の肉体は、まさに特権的肉体だ。

 昨今、高い評価を受ける芝居は常に現実的で、自然で、普遍的な芝居ばかりだ。それも確かに素晴らしい。しかし、芝居の価値を測る物差しはそれだけではないはずだ。彼の原形質的な魅力に溢れた、唯一無二の肉体を生かした芝居には、「現実に対する新たな理解」をもたらす力すらあるのだ。デジタル時代、実写はますますアニメーションに、アニメーションはますます実写に近づく時代に、生身の役者にはジム・キャリーのようなしなやかさと柔らかさが必要とされるのではないだろうか。

■杉本穂高
神奈川県厚木市のミニシアター「アミューあつぎ映画.comシネマ」の元支配人。ブログ:「Film Goes With Net」書いてます。他ハフィントン・ポストなどでも映画評を執筆中。

■公開情報
『ソニック・ザ・ムービー』
全国公開中
監督:ジェフ・ファウラー
製作:ニール・H・モリッツ、ティム・ミラー
出演:ベン・シュワルツ、ジェームズ・マースデン、ジム・キャリー、ティカ・サンプター
日本語吹替版:中川大志、山寺宏一、中村悠一、井上麻里奈
配給:東和ピクチャーズ
(c)2020 PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:sonic-movie.jp

関連記事