第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門に正式出品された映画『Papicha（原題）』が、『パピチャ 未来へのランウェイ』の邦題で10月30日より公開されることが決定。あわせて日本版ビジュアルと日本版予告編が公開された。

　本作は、物語の舞台であるアルジェリアに17歳まで暮らし、この映画が長編映画監督デビュー作となるムニア・メドゥール自身の経験から生まれた物語。アルジェリアで1991年に始まった内戦、いわゆる“暗黒の10年”を舞台に、イスラム原理主義による女性弾圧の真実を、ファッションデザイナーを夢見る少女の視点で描く。タイトルの“パピチャ”とは、アルジェリアのスラングで、“愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性”という意味。

　第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品された本作は、昨年12月に大統領選を控え政治情勢が不安定となっていた本国アルジェリアでは、昨年9月に実施が予定されていた先行上映が当局によって説明なしに中止された。第92回アカデミー賞国際長編映画賞への代表選出が、エントリー要件（同年9月30日までに本国での上映が必要）を満たさないとして危ぶまれたが、制作陣が政府からの圧力があったと訴え、最終的に特例措置でアルジェリア代表として認められた。

　その後も第45回セザール賞では新人監督賞を受賞し、メドゥール監督は、本作に寄せて「この映画が、女性たちの心の扉を開き、声を上げるきっかけになることを願ってやまない」とコメントしている。

　ファッションデザインを通じて愛する祖国の現実と向き合うことになる主人公ネジュマを演じるのは、アルジェリア出身のリナ・クードリ。本作でセザール賞有望若手女優賞を受賞したクードリは、第73回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクションに出品されたウェス・アンダーソン監督最新作『The French Dispatch（原題）』では、ティモシー・シャラメの相手役に抜擢、2021年フランスで公開予定のDIOR全面協力映画『Haute Couture（原題）』では、主演に抜擢されるなど注目作への出演が続いている。

　公開されたビジュアルでは、ネジュマが仲間たちと海辺で肩を寄せ合う姿とともに、「わたしらしく、闘う。」とキャッチコピーが添えられている。

　予告編では、大学寮の門限を破ってナイトクラブに繰り出し、仲間たちのドレスの注文を受けるネジュマの生き生きとした姿が映し出されている。しかし、街にイスラム原理主義がはびこる中で、ところかまわず“女の正しい服装”の強制や外国語教育に対する弾圧など横暴が加速。ボーイフレンドからはともに国外脱出をしようと促されるが、祖国を愛するネジュマは「ここには私の全部がある」と譲らない。

■公開情報
『パピチャ 未来へのランウェイ』
10月30日（金）より、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督：ムニア・メドゥール
出演：リナ・クードリ、シリン・ブティラ、アミラ・イルダ・ドゥアウダ、ザーラ・ドゥモンディ
配給：クロックワークス
2019年／フランス・アルジェリア・ベルギー・カタール／スコープサイズ／109分／アラビア語・フランス語・英語／原題：Papicha／映倫G
(c)2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS - JOUR2FETE – CREAMINAL - CALESON – CADC
公式サイト：papicha-movie.com
公式Twitter：@papichamovie