亀梨和也×山下智久『野ブタ。』実質的なクライマックスへ 朝ドラ女優3人の豪華共演も!

 修二(亀梨和也)が彰(山下智久)と信子(堀北真希)に渡す3本足の小さな豚の置物は、“チャンチトス”と呼ばれ、チリに伝わる幸運や友情のお守りなのだそうだ。6月13日に放送された『野ブタ。をプロデュース 特別編』(日本テレビ系)第9話は、友達からの裏切りを“周囲から必要とされている”と実感することで乗り越える信子の姿と、一度失った信頼を自分自身の手で取り戻し、やり直そうと考える修二の姿からも分かる通り、このドラマのストーリーにおける実質的なクライマックスが描かれるエピソードであるといえよう。

 

修二の家に突然やってきた蒼井(柊瑠美)は、プロデュースに参加させてほしいと申し出る。しかし、これまで信子が受けてきた嫌がらせの犯人が蒼井であることを知っている修二は、信子が真実を知ってしまうのではないかと危惧するのだ。結局プロデュースに参加することになった蒼井は、修二と彰が立てる計画に対して「全然努力していない」とダメ出しし、信子に髪型や喋り方を直すようにとアドバイスをする。信子のキャラ変にクラスメイトはもとより信子本人が戸惑うなか、蒼井は信子に嫌がらせの犯人が自分であったことを告白。そして唯一の友人に裏切られたことを知った信子は、学校に来られなくなってしまうのである。

 修二がクラスメイトに頭を下げて頼み込むことによって、信子を必要としている声を届けることができた終盤。久々に登校してきた信子をクラスメイトたちが暖かく迎え入れるなかで、蒼井の表情から何か仕出かすのではと不安を覚える修二と彰。そして別の場所でうたた寝をしていた修二たち3人と蒼井は、追い詰められた蒼井が屋上から飛び降りるという夢を見るのである。目を覚ました4人が見つける、夢の中で蒼井が飛び降りた場所にぽっかりと開いた人の形。さらにその後のデルフィーヌ(忌野清志郎)と佐田(夏木マリ)が月を見上げるシーン。こうしたどこか寓話的な演出は、直球で描かれるメッセージをより強調させていくためのものであったと思える。それは中盤、半ば暴走気味になりつつある蒼井に対して修二と彰がそれぞれ語る言葉だ。

 「人に優しくされたいし、これから先は人に優しくしたいと思っている」と少し自信なさげに語る修二。そして彰はいつもの調子で「人は試すものじゃないよ。育てるものだよ。愛をもって」と諭す。どちらも信子に対しての意味で語られたものであるが、同時に蒼井に対して向けられたものでもあると見受けられる。悪役である蒼井を貶めるのではなく、愛をもって優しく受け入れていく。夢の中で修二が蒼井の考えを見抜くくだりも然り、彼ら4人はどこかで繋がっているというわけだ。蒼井という役柄のバックグラウンドについては物語の中で詳細に描かれることはないが、それはおそらく、修二たちと同じように誰かに本気で受け入れられたいという想いに他ならないのだろう。

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