大野智×戸田恵梨香×佐藤浩市のチームワークが炸裂 『鍵のかかった部屋』特別編は終盤戦へ
先週までは2週にわたって2014年に放送されたスペシャル版が放送されたが、ふたたび2012年の連続ドラマ版のエピソードへと戻った『鍵のかかった部屋 特別編』(フジテレビ系)。6月8日に放送されたのは、榎本(大野智)と青砥(戸田恵梨香)、そして芹沢(佐藤浩市)のチームワークがすっかり確立された終盤、第8話の「犬のみぞ知る」だ。冒頭からフジテレビの朝の顔である『めざましテレビ』に芹沢が出演するというコラボシーンから始まったが、ちょうどこのドラマが初回放送されたタイミングで同番組はリニューアル。それを浸透させるためのコラボだったのだろうか。
さて、今回の密室のテーマは「見えないものにこそ真実が隠されている」。漫画家の中田文恵(渡辺めぐみ)が作業部屋で死んでいるのが発見されるが、玄関や部屋の窓の鍵が施錠されていたことから、警察はひとりでいるときに起きた不慮の事故と断定。しかし中田の姪である友香(志田未来)は中田の死の直前に電話で話しており、アシスタントと飲んでいると聞いていた。これが事故に見せかけた密室殺人であると確信した友香は、芹沢に解決を依頼。玄関の合鍵をアシスタントの橘(岩佐真悠子)と安西(MEGUMI)が持っていたことから、榎本は密室ではないと語るが、友香曰く、中田以外の人に必ず吠える犬が事件当日吠えていなかったと言うのだ。
いかにして“絶対に吠える犬”を吠えさせずに玄関を通るかということが密室を作り出すための必要条件となった今回のエピソード。そういった点では、先週放送されたスペシャル版の後半で描かれた、監視カメラをどのようにして潜り抜けるかというトリックと通じるものがある(てっきり特別編の放送が4週で終わることを見越しての構成かと思っていたが、その共通項を意識していたのだろうか)。そこで使われたのは、いくつもの“見えないもの”。犬が吠えるのを阻止するために犬との信頼関係を構築し、そして最終的に高周波の犬撃退装置を使ってその信頼関係を自ら崩して吠えさせ、自らの手で“証拠”を隠滅するという大胆な方策である。
解決のヒントとなったのは、榎本たちが通りかかった公園に流れていた“モスキート音”。そのシーンで青砥が(やや煽り気味に)芹沢に言うように、若者が屯することを防ぐために使われる18000Hzのモスキート音は、人間の可聴周波数が通常20000Hzであっても加齢と共に聞こえる範囲は狭くなっていき、ある程度の年齢になると聞こえなくなるものだ。一方で犬の場合は可聴周波数は50000Hzといわれており、訓練などに使われる犬笛では20000Hz以上。劇中で用いられるような撃退装置は通常その前後の周波数を発していると思われる。もっとも、その装置の周波数が時計のクォーツの周波数と一致したことを榎本が語っていたことからも、通常よりも高周波が発せられていたのかもしれない(コレクションされていた他の時計はなぜ壊れなかったのだろうか……)。