松本潤が明かした『99.9』の妥協なき精神 第1夜に凝縮されたシリーズのエッセンスの数々

松本潤が明かした『99.9』の妥協なき精神

 一方で松本が指摘するように、ディテールに妥協せず、法律監修にも万全を期したことで法廷ドラマとしても一本芯が通ったものになった。こうした硬軟自在な演出によって、無罪を実現するという一見不可能とも思える物語に説得力が生まれている。ドラマ的な諧謔とリアリティの両極を徹底して追求したことが、先の読めないスリリングな展開をもたらした。

 第1夜で無罪の決定的な根拠になったナトリウムランプについて、松本自身が嵐のコンサート演出で事前に研究していたという事実は、いかにも『99.9』らしいエピソードではある。池田貴史や岸井ゆきのら小料理屋「いとこんち」の面々、また次第に明かされる立花のプロレス趣味など『99.9』に関するネタは枚挙に暇がない。

 そういえば、後々のチームの萌芽になった『SEASON I』第1話で、生まれそうで生まれなかったのが深山と立花の男女関係で、次作にも引き継がれた“恋に落ちないバディ”という基本路線もちゃんと敷かれていた。作家のすべてが処女作にあるように、第1夜には『99.9』のエッセンスが凝縮されている。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
『99.9-刑事専門弁護士- SEASON Ⅰ 特別編』
TBS系にて、6月7日(日)21:00~21:54第2夜放送
出演:松本潤、香川照之、榮倉奈々、青木崇高、片桐仁、マギー、渡辺真起子、馬場徹、映美くらら、池田貴史、岸井ゆきの、藤本隆宏、奥田瑛二、岸部一徳
脚本:宇田学
演出:木村ひさし、金子文紀、岡本伸吾
プロデューサー:瀬戸口克陽、佐野亜裕美、東仲恵吾
トリック監修:蒔田光治
主題歌:嵐「Daylight」(ジェイ・ストーム)
製作著作:TBS
(c)TBS

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