“姉妹女優”は時代を映す鏡? 主演作相次ぐ広瀬姉妹&上白石姉妹の活躍を振り返る
“姉妹女優”は時代を映す鏡である。60年代後半から70年代にかけて庶民的な魅力で人気を得た倍賞千恵子と倍賞美津子であったり、90年代に清楚な雰囲気と才色兼備を絵に描いたように体現した石田ゆり子と石田ひかり。さらにジュニアアイドルが一時代を築いた90年代後半には前田愛と前田亜季が登場し、少子化時代の突入とともに双子の姉妹である三倉真奈・三倉佳奈が国民的人気を獲得する。そして現在は2組の姉妹女優が絶大な人気を博している。それが広瀬アリスと広瀬すず姉妹、上白石萌音と上白石萌歌姉妹だ。前者は女優としての活動と同時にファッションモデルの活動を行い、後者は歌手としても活動。多方面でマルチに才を発揮するというのが、現代の潮流というわけだ。
スカウトによって芸能界入りした広瀬アリスは、『黒の女教師』(TBS系)や『35歳の高校生』(日本テレビ系)などの学園ドラマで生徒役として注目を集めると、映画『銀の匙 Silver Spoon』でヒロイン役を好演。その活躍に引っ張られるように広瀬すずも『学校のカイダン』(日本テレビ系)で初主演を飾ると、続けざまに是枝裕和監督の『海町diary』や『ちはやふる』シリーズで大ブレイクを果たす。瞬く間に姉を上回る大活躍を見せるようになると、今度は妹の活躍に負けじと、姉・アリスも主演映画が立てつづけに公開。さらにアニメ映画や洋画吹き替えなどで声優にも挑戦したり、バラエティ番組では大の漫画好きというキャラクター性を獲得するなど、互いの個性を伸ばし合っているイメージが強い。
しかもこの広瀬姉妹の興味深いところは、狙いをすましたかのようなタイミングで2人の共演があることだ。姉・アリスが波に乗り始め、妹・すずが売り出し始めたタイミングで「MATCH」のCMで共演。その後ブレイクしたすずが主演を務めた『ちはやふる』では、洒落た形ですず演じる千早の姉・千歳役としてアリスがカメオ出演。そんな2人は、昨今の新型コロナウイルスショック下において、“Stay Home”で姉妹2人過ごす様子をInstagramでライブ配信を行ったり、5月30日に放送される坂元裕二脚本のオムニバスの“リモートドラマ”『Living』では“仲良し姉妹”役として共演。姉妹女優であるというメリットを最大限に活かして、2人揃ってさらなる飛躍を見せそうだ。
一方で、浜辺美波や山崎紘菜といったブレイク女優たちを続々輩出した第7回「東宝シンデレラ」オーディション出身の上白石姉妹。姉の萌音の方が『舞妓はレディ』や『君の名は。』で早々に大ブレイクしたため、ついつい忘れられがちだが、そのオーディションでグランプリを獲得したのは妹の萌歌のほうで、萌音は審査員特別賞だった。同じスタートラインを切った2人は同じ事務所に所属するわけだが、萌音はミュージカルへ、萌歌は「ピチレモン」の専属モデルと、まったく異なる道を進み始める。