『ROOKIES』から『恋つづ』まで キャリアと共に振り返る、佐藤健の名作ドラマ

『天皇の料理番』(2015年/TBS系)

 「第24回橋田賞」受賞など、役者として高い評価を受けたのが、先述の日曜劇場『天皇の料理番』。何事もすぐに投げ出してきた田舎町の青年・篤蔵(佐藤健)が料理にのめり込み、天皇の料理番にのぼり詰めるまでを描く物語である。

 鈴木亮平×麻生祐未×芦名星の『テセウスの船』(TBS系)組、小林薫×柄本佑の『知らなくていいコト』(日本テレビ系)組など、今だからこそドキッとするキャスティングも印象的な物語の中で、佐藤は頭を丸刈りにし、お調子者の青年役を好演。西洋料理を初めて味わった時に見せる顔など、観ているこちらもつられてしまうような、心揺さぶる表情が魅力的だ。

 とことん料理に惹き込まれていくさまを、引き締まっていく顔つきや所作、ぐんぐん上達していく調理の手さばきで丁寧に表現。またガムシャラに前を向いて突き進んでいく篤蔵にはパワーがあり、気持ちが沈みがちな今、鑑賞するのにぴったりな作品といえるだろう。

 その後しばらく連ドラに出演していなかった佐藤だが、2018年に『義母と娘のブルース』(TBS系)で憎めないダメ男の麦田、朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合)で知的で繊細な律という正反対の役どころを同時期に演じて話題に。そして2020年、『恋つづ』へーー。

 過去作を振り返ることは、あどけない少年時代から色気ダダ漏れの現在に至るまで、佐藤がストイックに作り上げてきたアルバムをめくる贅沢な作業。受けの主演と、攻めの脇役、ポップなコメディから重厚な人間ドラマまで、演じる役や作風のバランスが良く、ページをめくれどもめくれども飽きがこない。とりわけ『恋つづ』で佐藤健に溺れた皆様には、「もう抜け出せない」と覚悟を決めてから、その表紙を開くことをおすすめしたい。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。小学生男児2人の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■放送情報
『恋はつづくよどこまでも胸キュン!ダイジェスト』(c)TBS
TBS系にて、4月14日(火)22:00〜22:57放送
出演:上白石萌音、佐藤健、毎熊克哉、昴生(ミキ)、渡邊圭祐、吉川愛、堀田真由、香里奈、平岩紙、蓮佛美沙子、山本耕史
原作:円城寺マキ『恋はつづくよどこまでも』(小学館 プチコミックフラワーコミックスα刊)
脚本:金子ありさ
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:宮崎真佐子、松本明子
演出:田中健太
製作:TBSスパークル、TBS
製作著作:TBS
(c)TBS

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