『ハケンの品格』大前春子は今の日本をどう生き抜く? リーマンショック、東日本大震災後の生き方
春ドラマの目玉の一つ、篠原涼子主演『ハケンの品格』(日本テレビ系)が4月15日よりスタートする。2007年に放送されて平均視聴率20.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した大ヒットドラマの13年ぶりの続編ということになる。
昨秋には阿部寛主演の『結婚できない男』(2006年/カンテレ・フジテレビ系)の13年ぶりの続編『まだ結婚できない男』が放送され、今夏には同じく阿部寛主演の『ドラゴン桜』(2005年/TBS系)の15年ぶりの続編『ドラゴン桜2(仮)』が放送予定だ。いずれもリメイクではなく、続編ということがミソ。では、なぜ今、2000年代に話題を呼んだヒット作の続編が制作されるのだろうか?
もっとも大きな理由は、「視聴率が見込まれる」からだろう。ドラマ評論家の成馬零一氏も「過去のヒット作の続編しか企画が通らなくなっている厳しい台所事情」を指摘している(参考:4月期ドラマ、なぜ続編モノばかりに?)。同じく春ドラマの目玉であり、大ヒットした前作から7年ぶりの続編となる『半沢直樹』(TBS系)は、放送終了直後から続編が噂されていた。放送局側としてはすぐさま続編を作りたかっただろうが、さまざまな事情があって今シーズンにずれ込んだと見られている。
もう一つの理由は、「キャラクターの魅力」だ。『ハケンの品格』の主人公・大前春子(篠原涼子)は、抜群の事務処理能力のみならず、スペイン語とロシア語が堪能で、クレーンの資格やふぐ調理師、さらには核燃料取扱(!)などの資格を持つスーパー派遣社員。無口で無表情、絶対に残業はしない主義で、ナレーション曰く「彼女の辞書に不可能と残業の文字はない」。それでいて、後輩の派遣社員や同じ会社で働く同僚たちのトラブルを見過ごせない人情家の部分も持ち合わせている。
大前春子のキャラクターは、その後の『家政婦のミタ』(2011年/日本テレビ系)の三田灯(松嶋菜々子)、『家売るオンナ』シリーズ(2016年、2019年/日本テレビ系)の三軒家万智(北川景子)などに受け継がれている。脚本の中園ミホが後に手がけた『ドクターX~外科医・大門未知子~』シリーズ(2012年~/テレビ朝日系)の大門未知子も、大前春子と同じく「一匹狼」と呼ばれるスーパーウーマンだ。
むろん、「主演俳優が長く第一線で活躍している」のも理由の一つである。『ハケンの品格』の13年前のポスターと新作のポスターを比べると、篠原涼子の変わらなさにあらためて驚かされる。『結婚できない男』、『ドラゴン桜』の阿部寛も同じように10数年以上、見た目も活躍の度合いも変わっていない。