松坂桃李、菅田将暉、中村倫也 日本のエンタメ界を牽引する「トップコート」トリオの存在感

 すべての物事の消費サイクル速度が上がっているいま、エンタメ界でもその流れは同じであり、映画やドラマを支えるスターたちの顔も目まぐるしく入れ替わっている。そんななかにあって、人気と実力を兼ね備えた若手演技派として存在感を示しているのが、松坂桃李、菅田将暉、中村倫也の「トップコート」3人衆だ。

 なかでも松坂桃李は、先日行われた第43回日本アカデミー賞で『新聞記者』での演技が認められ、最優秀主演男優賞を受賞。昨年の『孤狼の血』での最優秀助演男優賞に続く受賞を果たし、昨年の涙のスピーチから、今年は堂々たる主演俳優としてのスピーチを行って話題を集めた。

『新聞記者』(c)2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

 松坂は、フラットな空気を保ったままに、剛柔どんな役にでもなりきって見せる役者だ。2008年に芸能活動を開始し、翌年2009年に『侍戦隊シンケンジャー』(テレビ朝日系)のシンケンレッドで俳優デビューを飾った松坂は現在31歳。映画『ツナグ』やNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』などの好演で着実にキャリアを重ねた。その後も本人の好青年なイメージは変わらぬまま、役者としては挑戦的な役に挑んでいく。『劇場版 MOZU』『彼女がその名を知らない鳥たち』、そして衝撃を与えた娼夫役『娼年』と立て続けにイメージを覆すキャラクターを演じて、演技の幅の広さを見せつけていく。

 前述の『新聞記者』では鬼気迫る演技を見せ、特にラストシーンでの得も言われぬ表情を観る者の脳裏に焼き付けた。今年はジブリアニメ『耳をすませば』の実写版で清野菜名とW主演を務めることが発表されており、早くから賛否を集める注目作となっているが、松坂の武器のひとつでもある声の魅力をうまく生かした柔らかな作品になってくれるのではと期待している。

 その松坂とは共演作も多い菅田将暉は現在27歳。2009年に『仮面ライダーW』(テレビ朝日系)で桐山漣とのW主演により俳優デビューを果たしたが、彼の存在を知らしめたのは2013年に主演した『共喰い』だろう。狂気が似合う役者・菅田の片りんがはっきりと見てとれる。菅田には、菅田という個性を打ち出したうえで、役に染まって見せる強さがある。

『糸』(c)2020映画『糸』製作委員会

 女装を披露した『海月姫』、ドラマ『民王』(テレビ朝日系)、アーティスト菅田へと繋がっていった『キセキ ーあの日のソビトー』、振り切れ具合が気持ちいい『帝一の國』など、バラエティに富んだ作品に出演を続けてきた菅田。近年も、趣里とのヒリヒリする距離感で引き付けた『生きてるだけで、愛。』、ブームとなったドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)など、菅田将暉ここにありといった演技を披露している。今年は実に3本の主演映画『糸』『花束みたいな恋をした』『キネマの神様』の公開が発表されており、絶好調だ。

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