『カイジ』『るろうに剣心』 大作映画の人気シリーズ、ついに終幕の2020年

 さて、シリーズ2作品とも前作の公開から大きく期間を空けているが(『カイジ』は9年、『るろうに剣心』は6年)、きたる2020年に幕を閉じるというのはどういうことなのか。『カイジ』シリーズ最新作『カイジ ファイナルゲーム』が公開されるのは年明け間も無くのことで、他方『るろうに剣心 最終章 The Final』と『るろうに剣心 最終章 The Beginning』が公開されるのは夏だ。それも後者は、2014年公開の前作『るろうに剣心 京都大火編』『るろうに剣心 伝説の最期編』と同様に、2作連続での公開となる。シリーズ開始からこれまでの時代の流れの中で、それぞれの作品の顔となる二人の俳優が大きな変化を経てきたのは先述したとおりだ。来年は“2020年代”という新たなタームが始まり、東京オリンピックが開催。話題作となること必至の作品をあてることで、記念すべき一年を祝祭的に飾ろうという狙いがあるのかもしれない。

 しかしだ、『カイジ ファイナルゲーム』で描かれるのは、2020年・東京オリンピック後の、景気が最低に落ち込んだ荒廃した東京とそこに息づく人々の姿。なんとも忌々しい設定ではあるが、先行きが不透明な私たちの世界の、一つの姿を示しているのかもしれない。だが、これを映画で描くからこそ、エンターテインメントの力というものを感じられるのも確かだ。

 2020年は、やはり大きな変化を迎える年となるのだろう。それは分かりきっていることだが、二人の俳優も自身の分身とも言えるであろう役の“人生”から降りることになるわけで、現在の日本映画界を牽引する彼らにとっても節目の年となりそうである。そんな彼らの集大成である作品が、どうにも不安な2020年をエンターテインメントの力で盛り上げてくれることを楽しみに歩んでいきたい。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■公開情報
『カイジ ファイナルゲーム』
2020年1月10日(金)全国東宝系にて公開
出演:藤原竜也、福士蒼汰、関水渚、新田真剣佑、吉田鋼太郎、松尾スズキ、生瀬勝久、天海祐希、山崎育三郎、前田公輝、瀬戸利樹、金田明夫、伊武雅刀
原作:『カイジ』(福本伸行/講談社ヤンマガKC刊)
監督:佐藤東弥
脚本:徳永友一
配給:東宝
(c)福本伸行 講談社/2020映画「カイジ ファイナルゲーム」製作委員会
公式サイト:kaiji-final-game.jp

『るろうに剣心 最終章 The Final』
2020年7月3日(金)公開
『るろうに剣心 最終章 The Beginning』
2020年8月7日(金)公開
主演:佐藤健
監督:大友啓史
原作:和月伸宏『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』(集英社ジャンプ コミックス刊)
製作:映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会
制作プロダクション・配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)和月伸宏/集英社 (c)2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会
公式サイト:http://rurouni-kenshin.jp
公式Twitter:https://twitter.com/ruroken_movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/ruroken_movie/

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