『ニッポンノワール』最終回まで残された数々の謎 賀来賢人の覚醒と黒幕の正体とは?

真の黒幕は誰?

 これまでに清春は、才門や深水、ガスマスクの男にニッポンノワールのマークを見せられることで記憶を取り戻してきた。何ものかに導かれるように過去の記憶を思い出した清春だが、そもそも誰が、何のために清春の記憶を操作したかは明かされていない。自身が殺されることを予期した薫が、清春がアルティメットプログラムの被験者であることを利用して、10億円と新薬の在りかを教えた後、清春の記憶を消し、才門や深水にそのことを伝えたとも考えられるが、薫がそこまでする目的が警察の悪事を暴くことなら、もっと直接的な方法があったはず。

 一方で、黒幕と目された元警視庁長官の碓氷政明は第9話で殺されており、アルティメットプログラムの目的が戦闘に特化した兵士を生み出すことだとすると、真の黒幕は警察の背後にいる権力という可能性が出てくる。もしそうなら、死の危険を感じた薫が真実を隠ぺいさせないために、いちばん安全な情報の隠し場所として、清春の記憶を利用したと考えることもできるだろう。「警視庁のガン」と呼ばれるほどタフなキャラクターとアルティメットプログラムの被験者という意外性、そして一度は自分が心を許した男性で、克喜(田野井健)の父親なのだ。最終回では、薫がつかんだ真の黒幕につながる手がかりも示されそうだ。

 もやがかかったような『ニッポンノワール』の世界で、視聴者も主人公の目線を追体験するかのように手探りで謎と向き合ってきた。不条理性を含む刑事ドラマとして画期的な作品となった『ニッポンノワール』はどのような結末を迎えるのか。最終回をぜひ目撃してほしい。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
『ニッポンノワール ー刑事Yの反乱ー』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:賀来賢人、広末涼子、井浦新、夏帆、工藤阿須加、佐久間由衣、立花恵理、田野井健、栄信、細田善彦、篠井英介、北村一輝
脚本:武藤将吾
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:福井雄太 、柳内久仁子(AX-ON)
演出:猪股隆一
制作協力 : AX-ON
製作著作 : 日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/NNY/
公式Twitter:@NNY_ntv

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