22年前を彷彿とさせる演出の数々 TVアニメ『ポケットモンスター』は大人こそ楽しめる作品に

 余談だがエンディングには、ポケモン音楽の生みの親でもある株式会社ゲームフリークの増田順一氏がプロデュースし、パソコン音楽クラブが作詞、作曲、編曲を手がけた「ポケモンしりとり(ピカチュウ→ミュウVer.)」が流れる。テクノミュージックを軸に、しりとりがテーマとなっており、1997年にミリオンセラーを記録したシングル『めざせポケモンマスター』に収録されたイマクニ?の「ポケモン言えるかな?」を否が応でも連想させるユニークな楽曲だ。

 第3話には「なんだかんだと聞かれたら」「答えてあげるが世の情け」の口上でお馴染みのロケット団からムサシ、コジロー、ニャース、ソーナンスが登場。彼らは『ヤッターマン』のドロンボー一味、『アンパンマン』のばいきんまんのようなポジションを担っており、当たり前の存在でいるロケット団にゴウが「ロケット団! 初めて見た! ニャースが喋ってる!」とリアクションしているのは新鮮で面白い。

 フシギソウの大行進の謎を解き、改めてポケモンの魅力に心を躍らせたサトシとゴウは、第4話で『ポケットモンスター ソード・シールド』の御三家の一匹、ヒバニーと出会う。やがてゴウにとっての相棒となるポケモン。ゴウは第1話から「夢じゃない、未来だ! そして、その未来は俺の手の中にある!」と希望に満ちたセリフを口にしていたが、悪事を繰り返し生活するヒバニーに「世界は広いんだ。行きたいって思えばどこへだって行けるし、いろんなやつと会える。だから、なんだってやってみればいいじゃん」と投げかける。ダブル主人公ということも今シーズンの大きな特徴であり、大胆さの中に実現への固い意志を持ったゴウが、今後サトシとの旅にどんな色を加えていくのかにも注目である。

 15日放送の第5話では、物語の中ですでに話にも出てきていたポケモンが巨大化する現象「キョダイマックス」にカビゴンを通して触れられる。これは『ポケットモンスター ソード・シールド』からの新システム。第1話にて大胆な原点回帰をしながらも、第2話から徐々に新シリーズの要素を加えていることに気づくはずだ。

 2020年7月には、およそ2年ぶりの完全新作『劇場版ポケットモンスター 2020』が公開されることが発表され、さらには『ポケットモンスター ソード・シールド』の世界を舞台にした新作短編アニメ『薄明の翼』が来年1月15日より、ポケモン公式YouTubeチャンネルにて配信されることもアナウンスされた。2016年に社会現象を巻き起こし今もなお多くのユーザーを持つ『Pokemon GO』、ピカチュウやミュウツーだけでなく、ゲッコウガ、ガオガエンといった近年のシリーズからの御三家も参戦する『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』など、ポケモンに回帰する機会は至るところに存在している。けれど、今回のアニメ新シリーズには、特に筆者と同世代にとっては、あの頃の胸の高鳴りを思い出させてくれる要素が手招きするように輝きを放っている。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『ポケットモンスター』
 テレビ東京系にて毎週日曜ゆうがた6時から放送
声の出演:松本梨香、山下大輝、大谷育江、中村悠一、花澤香菜、堀内賢雄、林原めぐみ、三木眞一郎、犬山イヌコ、うえだゆうじ
総監督:冨安大貴
監督:小平麻紀
クリエイティブスーパーバイザー:湯山邦彦
シリーズコンストラクション:米村正二
(c)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (c)Pokémon

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