『まだ結婚できない男』阿部寛演じる桑野が“まだ結婚できない”ワケ 面倒臭すぎる生態をシビアに分析

 阿部寛主演ドラマ『結婚できない男』から13年ぶりの続編『まだ結婚できない男』(カンテレ・フジテレビ系)が10月8日からスタートした。53歳となった阿部寛演じる桑野信介は、相変わらず偏屈で独り身を謳歌する日々を送っている。その変わらない姿に嬉しくもあり、まだ独身だったのかとちょっと残念でもある。13年経過しても桑野はなぜ未だ結婚できないのか? シビアに分析してみたいと思う。

 2006年に放送された『結婚できない男』での桑野信介は、建築家としてテレビに取材されるほど仕事の評価は高く、背は高いし顔もよく、高級マンションに住む収入もあり、一見モテ要素満載の男なのだが、とにかく皮肉屋で偏屈。何事も余計な一言が多く、結婚に関してはメリットがないと嫌悪し、それでいて自分の趣味には徹底的に凝るタイプなので、40過ぎても「結婚できない男」であった。そんな人柄だが、根は常識人で自分なりの正義感があり、元隣人の田村みちる(国仲涼子)がお金に困っていたら貸してあげようとしたり、ストーカー被害にあっていると助けてあげたり、犬が逃亡したら必死に探すなど実はいい人。桑野を本当に嫌いになる人は少なく、気がつくとみんな桑野の話をしてしまうほど、周りから愛されている存在でもある。

 まず桑野の面倒臭いところは、女性に対し、その人のネガティブ要素を抉るように皮肉を言いまくるも、決して相手が嫌いではないという、こちらが察するのが難しい心情の持ち主であること。それも桑野的には一つのコミュニケーションなので、言い過ぎて相手のリアクションが悪いととても気にしていたりする。その性格が理解されても恋愛対象にならないのは当然の結果。例え好きな人ができても、桑野の性格なら、ちょっとでも嫌われる要素があったら決して深追いをしないのも美学だと考えていそうだ。

 こうしてみると、桑野は女性嫌いのようにも見えるが、決してそうではない。キャバ嬢を元彼から守ろうと擬似彼氏を演じ、それでちょっと好かれるとその気になってしまうエピソードがあったが、デートや恋愛をしたくないわけではなく、むしろ女性から褒められたい気質が感じられる。つまり、桑野は単純に女性の扱いが慣れていない「恋愛下手」という考えもできる。恋愛感情ではないのに、ちょっと優しくされると勘違いしてしまい、その繰り返しで他人に幻滅し、変な壁ができていったパターンかもしれない。それに加え、コミュニケーション下手で善意が相手に伝わらないことも多々あり、他人との行動は面倒臭いという境地に達して、合理的な行動をとるようになったと考えられる。当初はみちるのペットである犬のケンを毛嫌いしていたが、母親の育代(草笛光子)に「あんた子供の頃犬が大好きだったのにね」と言われる。桑野は「そんなことないだろ」と返していたが、やはり元々はピュアで、色んなことを経験してきたことで偏屈になったことが垣間見える。

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