『監察医 朝顔』特別編に込められた作り手たちの思い 朝顔×桑原の納得の馴れ初めも
『朝顔』は家族の日々の食事を通して生きるということを描いた作品でもあった。今回のサブタイトル『~夏の終わり、そして~』の通りに、桑原家に出される夕食は秋の味覚を代表する秋刀魚。また、これまでの構成と同じように、特別編の後半では朝顔の母・里子(石田ひかり)が被災した東日本大震災が描かれていく。
いずれは向こうに住んで里子を捜すという平の気持ちは固く、東北の住宅情報誌を持ち、泊まりがけで再び仙ノ浦へと向かおうとしている。「お父さんビールでも飲む?」。そんな朝顔の誘いから、2人は仙ノ浦に行った際につぐみを映したホームビデオをつまみに飲むことに。2階から桑原を抱えたつぐみが降りてきて、結局みんなでホームビデオを見る4人。そんな変わらない日常の中で、諦めずに少しずつ歩み続ける朝顔や平の姿、そしてラストは迫真のスピーチが話題となった第10話の朝顔の講義シーンで終わりを迎える。ドラマの全てのメッセージが詰まった講義のシーンで『特別編』を終えるというのは、製作陣の並々ならぬ強い思いがあったに違いないだろう。
余談だが、SNSでは『朝顔』の新聞のラテ欄が縦読みで「ま・体(た)・朝(あ)・運(う)・秘(ひ)・孫(ま)・デ(で)」と「またあうひまで」になっていることが話題になっている。最後まで多くの視聴者の心に寄り添い続けたドラマ『監察医 朝顔』。また朝顔や桑原たちの日常が動き出すことを願って。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■作品情報
『監察医 朝顔』
出演:上野樹里、時任三郎、風間俊介、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎(SixTONES/ジャニーズJr.)、坂ノ上茜、喜多乃 愛、宮本茉由、戸次重幸、平岩紙、三宅弘城、板尾創路、柄本明ほか
原作:香川まさひと
漫画:木村直巳
監修:佐藤喜宣『監察医 朝顔』(実業之日本社)
脚本:根本ノンジ
法医学監修:上村公一(東京医科歯科大学)
プロデュース:金城綾香
演出:平野眞、澤田鎌作
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
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