ブラッド・ピットが体現する“白人男性”の光と影 ハリウッドを変える力を持つ唯一無二のスターへ

 ハリウッドのキラキラ組だけど実力もある俳優ーー。ブラッド・ピットに対する印象は一般的にはこんなものではないかと思う。実は、彼が名プロデューサーで、今を時めく映画制作会社「プランBエンターテインメント」(以下、プランB)を経営している事実については、知らない人のほうが多いのかもしれない。

 現在公開中の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』や『アド・アストラ』も興行収入と作品/演技評価ともにすこぶる好調。今年は、アンジェリーナ・ジョリーとの泥沼離婚にもやっと終止符が打たれ、新作にも恵まれた彼のキャリアを振り返ってみよう。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

『テルマ&ルイーズ』でイケメン俳優の仲間入り

 ミズーリ州の中流家庭で育ったブラッド・ピットは大学でジャーナリズムを専攻していたが、小さな頃から抱いていた俳優への憧れが忘れられず、大学卒業真近に中退し、325ドルを握りしめてLAへと飛び立った。LAで運転手や引越し業者として働きながら演技を磨いたピットは、1980年代後半にテレビや映画に出演し始める。(※1)

 彼の大きな転機となったのは、リドリー・スコット監督のヒット作『テルマ&ルイーズ』(1991)でジーナ・デイヴィスの一夜のロマンスの相手を演じたとき。このときに見せた肉体美とラブシーンでピットは世界中から注目の的に。

 ちなみにジーナ・デイヴィスとは当時ジュリエット・ルイスという恋人がいたのにも関わらず、撮影中に短期間付き合っていたとう。

俳優として3度のアカデミー賞ノミネート

 その後数々の話題作に出演し、1995年にはピープル誌の「最もセクシーな男」に選ばれるなど90年代のイケメン俳優のトップを突っ走りながら、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)のタンディ・ニュートン、『セブン』(1995)のグウィニス・パルトロー、『ジョー・ブラックをよろしく』(1998)のクレア・フォーラニら共演者とも浮名を流すが(パルトローとは婚約に至るものの謎の理由で破局)、その間も演じる役柄の幅を広げ役者として開花していったピット。

 過去30年以上も年に1~3本ほどの作品にコンスタントに出演してきた彼の俳優人生において、アカデミー賞にノミネートされたのは、助演男優賞の『12モンキーズ』(1995)、主演男優賞の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)と『マネーボール』(2011)の計3回。残念ながら受賞には至っていない。

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