『監察医 朝顔』『凪のお暇』実写化が生み出す新たな魅力 ドラマは漫画原作の“アレンジ”が肝?

 もっとも同じ“映像化”という範疇においても、映画というフィールドに移れば原作の扱い方の傾向は対照的になっている。今年大ヒットを記録した『キングダム』のように徹頭徹尾原作のコマに近付けた“完コピ”を実現したり、『ニセコイ』や『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』のように、キャラクターの個性的なビジュアルをそのまま現実世界に解き放つような、これまでは“違和感”として避けられていた様々な描写でさえも堂々と行われるようになっている。これはもちろん“選んで観に行く”映画と“チャンネルを回せば見られる”テレビドラマという機会的な違いも少なからずあるが、それに加えて前述したような期間的な違い、二時間で作り手のイメージが提示されなくてはいけない映画と三ヶ月かけてイメージを定着させていくテレビドラマの違いも往々にしてあると言えるだろう。

 映画よりも圧倒的にポピュラリティに依拠したメディアであるテレビドラマにおいては、従来と変わらず、すでに存在する原作漫画の魅力に新たな魅力を与える役割に重点が置かれている。もちろん原作ファンをいかにして惹き込み、これだけ漫画原作映画/ドラマが量産されている中で、なぜこの作品を実写化したのかという理由を明確化することも重要ではあるが、三ヶ月間話題が持続することを活かして新たな層を取り込んでいくことは欠かせない部分なのだ。しかしすでに、Netflixのように一気に最終話まで駆け抜けることが可能な“選択して観る”テレビドラマが増加している。ともなれば、今後日本のドラマにおける原作の扱い方は否応なしに変化していくことだろう。

■久保田和馬
久保田和馬 1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど Twitter

■放送情報
『監察医 朝顔』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00〜放送
出演:上野樹里、時任三郎、風間俊介、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎(SixTONES/ジャニーズJr.)、坂ノ上茜、喜多乃 愛、宮本茉由、戸次重幸、平岩紙、三宅弘城、板尾創路、柄本明ほか
原作:香川まさひと
漫画:木村直巳
監修:佐藤喜宣『監察医 朝顔』(実業之日本社)
脚本:根本ノンジ
法医学監修:上村公一(東京医科歯科大学)
プロデュース:金城綾香
演出:平野眞、澤田鎌作
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/asagao/

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