『タロウのバカ』インタビュー

YOSHI×大森立嗣監督『タロウのバカ』対談 「先輩風は一番嫌い」「問われているのは俺たち」

大森「踊るように芝居をする」


ーータロウを演じて、共鳴した部分はありますか?

YOSHI:そもそも、僕自体がすごくアグレッシブな人間で、普段から「ウオー!」、「よっしゃー今日も行くぞ!」みたいな感じなんで。誰にでも内面の気持ちはあると思うんですけど、タロウが世の中に対して「こうなった方がいい」と思う内側の怒りからの勢いは、すごく似てるなって思いました。

ーーYOSHIさんが演じてこそタロウが輝いたなと思った瞬間はありましたか。

大森:YOSHIが演じることになったからと言って内容を変えているわけではないし、「セリフは全部覚えてくれ、あとは好きにしていいよ」と伝えたんです。菅田とか太賀と向き合った時に自分がどういう風に感じるかは、お前に任せるからと。びっくりしたのは、リズム感ですね。

YOSHI:何のリズム感?

大森:例えばピストルを渡した後に「えー!」って叫びながら一回転するんですよ。誰も求めてないのに。アドリブというか、よく分からないんだけど、踊るように芝居をするんです。あそこまで自由にやれるというのは、やっぱり良かったですよ。

ーー菅田さんと太賀さんとの共演はいかがでしたか。

YOSHI:相当良かったですよ。あと、超スムーズに撮影も進みました。

大森:そうそう(笑)。すごい早いよなぁ。終わったらすぐゲーセン行くからな。

YOSHI:ゲーセン行って、銭湯行って、焼肉食って、KALDI行って2万円分くらいスナックを買って、俺コーラで「カンパーイ!」みたいな(笑)。「ヨッシャ行くぞー!」「朝まで飲むぞー!」って言って、夜の21時に寝てますからね(笑)。

ーーYOSHIさんから見てお二人はどんな存在ですか。

YOSHI:本当に良いお兄ちゃんであり、同級生の親友みたいな感じもありました。単純に親しい仲として、すごい良い人たちだなと思うし、これからも仲良くしていきたいです。

ーー演技の面で、学んだことやアドバイスを受けたりすることはありましたか?

YOSHI:アドバイスとかはないですね。それも監督と一緒で、「ありのままで、型にはまらず、自由にやれば」って。僕、それはできるんです。自分はこの勢いがなくなったら全てが終わりだなと思っていて、タロウともリンクするところなんですが、この素直でポジティブなところがYOSHIなんです。

 すごい難しいことなんですけど、今、ネガティブで回っている世の中を、僕は逆にして、ポジティブで回したいなと思っていて。けれど、ポジティブに近づくほど、世の中の闇に触れて、人が死んでいっちゃうんだと思うんです。例えばビートルズのジョン・レノンとか……。それは、この映画参加して改めて強く思いました。

ーー監督から見て、菅田さん、太賀さんが新人のYOSHIさんから良い刺激を受けてるなと思った場面とかはありましたか?

大森:菅田も太賀も先輩だし、今、若手の中では相当力のある2人だけども、一本の映画の中では、フレーム入った瞬間、YOSHIとも対等になるしかないので、それは、彼らの中でもちゃんとしてたんじゃないかなと思う。先輩風を吹かせる訳でもなくてね。

YOSHI:先輩風は一番嫌いだからね。「死ね!」って思いますもん。

大森:(笑)。映画のスタッフなんて特にそういうことやりがちだから、そういうこと一切やらないように、むしろYOSHIに問われているのは俺たちだと思っていました。今みたいに「死ね」って思われないようにやらなくちゃいけないですからね(笑)。

 映画は古い業界だから、封建的な部分は残ってたりするんだけど、今回はそういうのは全部なしにして、スタッフはすごい楽しんでましたよ。菅田は、役と同じで、エージがタロウと仲が良いというか、タロウに憧れるんだけど、タロウに指示を出すという係だったので、そういう関係性はプライベートでもやっている感じはしましたね。

YOSHI:相当良いお兄ちゃんでした。(菅田と)古着屋さん行って、家行って、ギター弾いて、踏み場もない家で(笑)。

大森:そこらへんがうまく噛み合ってたんだと思います。

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