草刈正雄と広瀬すずを繋ぐ開拓魂 『なつぞら』は“助け合い”を描き続ける
幼い頃に両親を亡くした泰樹(草刈正雄)は、親戚の農家の養子になった。ただ、「働かなけりゃ、ただの厄介者」ということもあり、18歳のときに彼は北海道に渡ってきた。原野を開墾し、自分の土地にするということを1人で成し遂げた泰樹。
しかし当初入植していたのは十勝川のほとりで、ある時、川の氾濫で家も畑も牛舎も流されてしまうという経験をする。幸いにして家族と馬は助かり、今度は音問別にやってきた泰樹は、再び一から開墾していったのだった。
『なつぞら』(NHK総合)第140話では、マコプロの一行が十勝の人々の暮らしを見聞する姿が描かれ、最初に詳しく取材した話が、この泰樹の開拓物語である。成功体験も数多くあると同時に、過酷な経験もたくさんしてきた泰樹。今よりもずっと昔から、彼は自分の力を振り絞って必死に生きてきた。ただそれと同時に、多くの人に支えられてきた人生でもあったのだ。開拓者にとって一番の心の支えは、やはり家族だったのかと、坂場(中川大志)から問われた際に、泰樹は次のように答えた。
「家族に限らんかもしれん。“誰もが支え合って”、それで開拓者は強くなったんじゃ」
開拓は簡単にできることではない。しかし、誰もが支え合うことで、辛いとき、苦しいときにどうにか頑張ることができる。そして、それは開拓に限らず人生全般においても言えることなのだろう。仕事でも家庭でも、自分で汗を流しながらも、みんなが手と手を取り合うことができれば、きっと見える景色は素晴らしいものになっているはずなのだ。これまでの『なつぞら』では様々な登場人物たちのあり方が描かれて、そこには多くの場合、誰かと誰かの結びつき、助け合いが確かにあった。