川島明、原田泰造、澤部佑……今期ドラマを引き締める、“芸人役者”たちの活躍

 お笑い芸人は、今も昔も映画やドラマに出演し続けている。そこは漫才やコントとは別の、もう一つの舞台といっても過言ではない。明石家さんまが、『男女7人夏物語』(TBS/1986年)、『空から降る一億の星』(フジテレビ系/2002年)といった多くのヒットドラマに出演していたのは有名であり、近年でも片桐仁(ラーメンズ)が『あなたの番です』(日本テレビ)を始め、『99.9 -刑事専門弁護士-』(TBS/2016年)など多くの作品に出演し、塚地武雅(ドランクドラゴン)が朝ドラ、大河、民放とバイプレイヤーとして欠かせない存在に成長している。

『なつぞら』川島明(麒麟)

 今期ドラマにおいても、片桐だけでなく、多くの作品に芸人が出演している。中でも出世頭とも言えるのが、朝ドラ『なつぞら』(NHK総合)でアニメーター・下山克己を演じる川島明(麒麟)だろう。2007年公開の映画『パンティストッキングダイナマイト』では、監督と出演の両方を務め、2009年放送の朝ドラ『つばさ』にベッカム一郎として出演するなど、これまで出演歴が全くなかったわけではないが、そのほとんどが言わばちょい役。しかし、『なつぞら』ではメインキャストへの大抜擢を果たしている。

『なつぞら』写真提供=NHK

 下山が物語に初めて登場するのは序盤の第6週「なつよ、雪原に愛を叫べ」。東洋動画に見学としてやってくるなつ(広瀬すず)を温かく歓迎し、入社後も班のリーダーとして指揮を執り、作画監督も担当した凄腕のアニメーターだ。心優しい下山は、同じ東洋動画で働く茜(渡辺麻友)の心を射止め、結婚。第22週「なつよ、優しいわが子よ」では、東洋動画を円満退社し、マコプロダクションをアニメーションの新天地にしようと新たな挑戦を続けている。ひょうきんで明るく人を楽しませようとする性格も演じる川島にぴったり。それに加えて、印象的な低音ボイスも回を増すごとに安心感へと変わっていっていることに気づく。

『なつぞら』写真提供=NHK

 余談だが、一時期、川島が民放のバラエティ番組に出演する際、仮眠中に広瀬すずに起こされたというエピソードトークが定番に。『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)では、第3週「なつよ、これが青春だ」にて、なつの通う十勝農業高校の先生役として出演したノブ(千鳥)と共演する回もあった。朝ドラという国民的ドラマということもあるが、他局で朝ドラ出演を話題にできるのは、芸人に許された特権でもあるように感じる。

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