『なつぞら』が描く子育てと仕事を両立させることの難しさ 下山夫妻の優しさがなつを救う

 子育てと仕事の両立――そのためには、いつの時代であっても、なかなか思うようにいかないことや、頭を抱え込んでしまうようなことがしばしばある。限られた時間の中で、どれだけ子供と向き合い、どうやって自分の仕事をこなし、いかにして夫婦で協力することができるか。そんな時、救いの手を差し伸べてくれる存在が近くにいるか否かで大きく状況は変わるものである。

 『なつぞら』(NHK総合)第128話では、ようやく坂場夫妻が働いている間に優の面倒を見てくれる場を見つけることができた。茜(渡辺麻友)が自身の子の明子と一緒に、優の世話をすることを申し出てくれたのだ。坂場家を下山夫妻が訪れているシーンで打ち明けられたその申し出に、やや当惑してしまうなつ(広瀬すず)。今まで様々な助言をしてくれたり、相談に乗ってくれたりした下山夫妻であるわけだが、まさか優の保育の手助けまでしてくれるとは思ってもいないようだった。

 茜たちがなつたちをもっと支えようと思った理由は、実は神地(染谷将太)からの声もあったようだ。なつたちを助けてあげられないかと、茜にこっそり相談をしていた神地。なつが作画監督を引き受けたことを、茜たちはその際に知らされたという。神地は神地で、これまでに何かとなつの背中を押してきたことに責任を感じているのだとか。そして、一久(中川大志)をいつまでもくすぶらせていたら、「日本のアニメーションにとって損失だろう」とも言っていたようだ。

 優の保育をしてくれることを受け、なつと一久が感謝の気持ちを込めて「よろしくお願いします」と伝えたとき、茜も下山(川島明)も「一緒に頑張ろう」と口にしてくれた。それはきっとなつたちにとって本当に心強い言葉であったことだろう。自分たち夫婦に寄り添い、支えてくれる存在がいてくれることほど、安心できることはないはずだ。茜は月6000円で優の保育をしてくれることになった。

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