「音が見える」真木よう子が本領発揮  『ボイス』は個性的な能力が光るサスペンスドラマに

 樋口(唐沢寿明)とひかり(真木よう子)には、身内を同じ凶悪犯に殺害されているという共通点があることがわかり、ふたりが連帯して事件を追う動機が明確になった第2話までのストーリー。ECUの本格始動となった『ボイス 110緊急指令室』(日本テレビ系)第3話では、県警に勤める栞(石橋菜津美)の妹・葵(矢作穂香)が何者かに拉致されてしまう。携帯のGPS情報を頼りに樋口と石川(増田貴久)が犯人を追うなか、冒頭では「音が見える」というひかりの特徴を生かしたスリリングなサスペンスドラマが展開されていった。

 トランクに乗せられた葵の携帯電話から聞こえる微かな音の情報をもとに、ハッチバックタイプの車両であることや踏み切り音、児童の声やクラクションをひかりが聞き取り、逃走車両を追い詰めていく樋口たち。いよいよ車両を特定し、車両情報から被疑者は葵の元交際相手である大森だと判明。車を停車させ逮捕に試みたものの拳銃を所持していた犯人によって不意を突かれ、みすみす取り逃がしてしまう。さらに樋口は、車に乗っていたガタイのいい男と大森の痩せ型な外見に差異があることに疑問を抱く。数時間後、逃走車両が発見されたものの、なかには大森の遺体が。自殺に見せかけたフェイクであることを察知し、真犯人が別にいることを確信していく。

 一方ひかりは、葵の現在の恋人である新田(森永悠希)が電話で不審な会話をしていることに気づき、単独で彼を追尾。疑っていることに気づかれないように探りを入れるひかりだったが、真犯人だった新田に真意を気づかれてしまい、さらにはガタイのいいもうひとりの実行犯からの奇襲を受け、連れ去られてしまう……。新田に先を読まれ、なかなか思うようにいかないECUの出だし。犯人の知らぬ間に音を聞き取っているという特異なスキルをひかりは持っているものの、樋口や他のメンバーとのチームワークにまだ難があり、十分なポテンシャルが発揮されていないところに彼らとこの物語の伸びしろがあるのかもしれない。ホワイトハッカーやマルチリンガル、あるいはハマの狂犬・樋口や相棒の石川といった個性的なメンバーの能力も徐々に発揮されてきているだけに、すべてがうまく連携していく展開に期待が募る。

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