『ボイス』真木よう子が示す、今ある「声」を掬う意志  黒幕は警察内部にも関係が?

 12歳のときに事故で目にケガを負い、2年間視覚を失ったことと引き換えに聴覚が異常に発達したのだと、語るひかり。遺恨が残る事件から、ボイスプロファイラー(声紋分析官)としての力をつけるために科捜研へ異動し、3年の時を経てECUを設立することに至った経緯も樋口へ向かって語られた。彼らが共有するのは、「失われてしまった大事な人の声」という非常に悲しいものだ。息子が夜な夜な見る夢には当たり前のように母親がいて、彼女からは愛にあふれた声が聞こえてくるのだろう。樋口の心の中でいつだって思い出されるのは、事件当日の朝に耳にした、「少しはちゃんと寝ないと」と言う未希の温かい声に違いない。そんな大事な声が失われながら、それでもひかりは前を向いている。この『ボイス』というドラマからは、凛としたひかりの姿勢を通して、今ある「声」を必ずなくしてはいけないという強い意志を感じることができるのだ。

 勇気を持って発しても忙殺されてしまう声や、突然、ほんとうに唐突に奪い去られてしまう声というものが、現実の世界にも存在する。それでは、今ある「声」を聴いてあげられるのは誰なのか。3年前の事件の真犯人である男についてひかりが推測するのは、ものすごい権力の持ち主であるがゆえに警察内部とつながっており、証拠をも消してしまう存在であるということだった。そこには、まるでこの現実の世界を投影しているかのようないびつな組織構造が浮かび上がってくる。

 助けを求める人の「声」を聴きとり、タイムリミットのなかで必ず救出するという本作が、どれだけの声を掬い上げることができるのか。ホワイトハッカーやマルチリンガルのメンバーが加わったECUチームの第3話以降の活躍に期待していきたい。 

■原航平
ライター/編集者。1995年生まれ。映画、ドラマ、演劇など、とにかく物語と役者に興味津々。大学時代の卒業論文の題材は「疑似家族を描く日本映画について」。Twitterブログ

■放送情報
『ボイス 110緊急指令室』
日本テレビ系にて、7月13日(土)スタート 毎週土曜22:00〜放送
出演:唐沢寿明、真木よう子、増田貴久、木村祐一
原作:“Based on the series “Voice”, produced and distributed by Studio Dragon Corporation and CJ ENM Co., Ltd”
脚本:浜田秀哉
音楽:ゲイリー芦屋
演出:大谷太郎、久保田充
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:尾上貴洋、後藤庸介(日テレアックスオン)
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/voice/

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