『あなたの番です』“交換殺人ゲーム”の伏線を振り返る 後半戦は田中圭と横浜流星の推理対決に?

 ドラマの中だけでなく、視聴者の間でも謎解きが加熱している本作には、今のところふたつの大きな説が存在している。ひとつめは「黒島沙和双子説」で、ドラマ序盤では必ず毎週どこかに傷を作っていた彼女が最近のエピソードでは傷を作っていないことや、性格が明るくなったことなどがその理由としてあげられている。さらには田宮が監視カメラをマンション中に設置して見つけた映像に“ふたり”の黒島沙和が映っていたから、田宮はその直後に沙和を見るシーンで訝しげな表情を浮かべていたという推理も。沙和が「双子の片割れ」の名前もしくは「暴力を振るう彼氏」の名前を書いて、すでに殺されているのだという推理も見受けられたが、どれも確証は得られていない。しかしながら、ドラマで描かれた“死”以外にも誰かが殺されているという見立ては、もしかすると核心をついているような気がしてならない。

 また視聴者と同じ立場に立って謎解きを行う翔太が「二重人格なのでは?」という説もある。現時点でこれを裏付けるような描写は感じ取れず、強いて言うならば翔太が時折菜奈への強い愛情から発する常軌を逸した発言や、隣人の幹葉とのやりとりぐらいだろうか。たしかに幹葉が少しおかしいというのがミスリードのひとつであるという考え方もできなくはない。もっとも、すでに劇中では「袴田吉彦襲撃」シーンの3人組が浮田たちではなかったということなど、様々な伏線とミスリードが往来し、複雑化を極めていることは注意しておく必要がありそうだ。

 もちろん沙和が作った表に書かれている、誰が誰の名前を書いて誰の名前を引いたかということも含め、管理人室のシュシュや赤池家での事件で流れたチェッカーズの「ジュリアに傷心」、脅迫文の字体、佐野の不可解な行動の数々、空室の303号室に出入りする幹葉など伏線となりうるポイントを挙げれば枚挙にいとまがない。とはいえ、久住の外出時の不穏な行動やエレベーターの中での謎の動きが案外大した理由ではなかったことを踏まえると、あまり深く推理せずにもっと俯瞰して捉えるのが解決への近道なのかもしれない。

 そしてさらに、新章スタートである第11話から新たな住人として横浜流星が参戦することも明らかになった(参考:横浜流星、『あなたの番です』新章に大学院生役で出演 「一視聴者として毎週楽しみにしていた」)。AIを開発している大学院生という役柄で、この交換殺人ゲームの謎に迫っていく。もしかすると後半戦は、田中圭と横浜流星の推理対決を軸とした“謎解きドラマ”としての様相が強くなっていくのではないだろうか。 

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■番組情報
日曜ドラマ『あなたの番です』
毎週日曜22:30〜放送
出演:原田知世、田中圭、西野七瀬、浅香航大、奈緒、山田真歩、三倉佳奈、大友花恋、金澤美穂、坪倉由幸(我が家)、中尾暢樹、小池亮介、井阪郁巳、荒木飛羽、袴田吉彦、片桐仁、真飛聖、和田聰宏、野間口徹、林泰文、片岡礼子、皆川猿時、徳井優、田中要次、長野里美、阪田マサノブ、大方斐紗子、峯村リエ、竹中直人、安藤政信、木村多江、生瀬勝久
企画・原案:秋元康
脚本:福原充則
演出:佐久間紀佳ほか
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:鈴間広枝、松山雅則
制作協力 :トータルメディアコミュニケーション
製作著作 :日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/anaban/

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