江口洋介版“ガンテツ”から滲み出る大人の色気 新「ストロベリーナイト」世界観のアクセントに

 かつて武田が演じていたガンテツにも、江口演じるガンテツが見せたような「良心」を垣間見せるシーンはあった。だが、姫川に強い敵意を向け、摘発するためなら部下や同僚をも切り捨てる姿から「ネチっこく厭らしい」印象が強い。そのため武田版ガンテツと比較すると、江口演じるガンテツのほうが「人間味」が強調され、彼の根底にある「良心」が伝わりやすくなっている。とはいえ、武田版も江口版も、ガンテツの名の由来である「頑固一徹」な捜査方法に揺るぎはない。自分の信じる道に従い、違法捜査もいとわず、時に同じ警部補である姫川をも脅かすガンテツの姿は、どちらの演技にも共通している。

 SNSでは、江口演じるガンテツの行動が度々話題に上がっており、姫川を押し倒した姿は「床ドン」と称され、「カッコイイ」「ガンテツにしてはかっこよすぎる」との声も上がっていた。だが、このシーンで筆者が感じたのは、物怖じしない姫川と犯人を捕まえるためなら手段を選ばないガンテツの、敵対関係だった。2010年版のキャストから一新された今作において江口は「姫川の天敵」という立ち位置を貫きながら、姫川や菊田にはない大人の渋さを醸し出し、本作の世界観のアクセントとなっている。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
『ストロベリーナイト・サーガ』
フジテレビ系にて毎週(木)22時〜放送
出演:二階堂ふみ、亀梨和也、葉山奨之、宍戸開、中林大樹、重岡大毅(ジャニーズWEST)、今野浩喜、菊池桃子(特別出演)、伊武雅刀、山口馬木也、岡田浩暉、江口洋介ほか
原作:誉田哲也「姫川玲子シリーズ」(光文社刊)
脚本:徳永友一、ひかわかよ、関えり香
編成企画:渡辺恒也
プロデュース:山崎淳子
演出:石川淳一、山内大典
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/strawberrynight/

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