『プロメア』は大衆娯楽映画の最先端に 強烈な生のエネルギーを描くTRIGGERの手法とは

『プロメア』は大衆娯楽の最先端だ

 歌舞伎役者の市川染五郎は、中島かずきの戯曲『阿修羅城の瞳』の公演に参加した際、劇団☆新感線の舞台について、現代の歌舞伎であると評している。

「見得を切るとか、花道を使うとか、着物を着るとか、そういう上っ面の歌舞伎の真似事ではなくて、歌舞伎が本来持っている娯楽性とか大衆性が新感線の舞台にはあると感じたんです」(『「阿修羅城の瞳」K.NAKASHIMA SelectionVol.2』論創社、P187)

 TRIGGERの作る作品にも同じことが言えるのではないか。主人公、ガロの見得きりの動作などは直接歌舞伎からの引用だが、それ以上に、市川染五郎の言う「歌舞伎が本来持っている娯楽性と大衆性」がこの作品には溢れている。『プロメア』はアニメにしかできないやり方で、大衆娯楽の最先端を示した作品だ。ぜひとも劇場に行って、その熱量にノックアウトされてきてほしい。

■杉本穂高
神奈川県厚木市のミニシアター「アミューあつぎ映画.comシネマ」の元支配人。ブログ:「Film Goes With Net」書いてます。他ハフィントン・ポストなどでも映画評を執筆中。

■公開情報
『プロメア』
全国公開中
キャスト:松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人、佐倉綾音、吉野裕行、稲田徹、新谷真弓、小山力也、小清水亜美、楠大典、檜山修之、小西克幸
原作:TRIGGER・中島かずき
監督:今石洋之
脚本:中島かずき
キャラクターデザイン:コヤマシゲト
アニメーション制作:TRIGGER
製作:XFLAG
配給:東宝映像事業部
(c)TRIGGER・中島かずき/XFLAG
公式サイト:promare-movie.com
公式Twitter:@promare_movie

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