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『ある少年の告白』が描く深刻な問題と示される希望 ジョエル・エドガートン監督の作風から探る

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 一人の少年の告白によって明るみになり、アメリカを驚愕させた“ある事件”……。それは、一部の教会が神の名のもとに、人間性を強制的に変化させようとする、人権を無視した“プログラム”を行っていたという事実だった。のちに書籍化されベストセラーにもなった、この驚くべき実話が、ルーカス・ヘッジズ主演、ジョエル・エドガートン監督作品として映画化されたのが、本作『ある少年の告白』だ。

 現在も同様の被害者を生み続けているという、この事件はなぜ起こったのだろうか? ここでは、ルーカス・ヘッジズをはじめとする出演者たちが表現する人間ドラマが示すテーマや、出演もしているエドガートン監督の作風に光をあてながら、本作で描かれた深刻な問題や、示される希望について考察していきたい。

エドガートン監督の描く社会の光と闇

 オーストラリア出身のジョエル・エドガートンは、演劇やドラマで頭角を現し、映画ではジョージ・ルーカス監督による『スター・ウォーズ』新三部作のなかで、ルーク・スカイウォーカーを育てることになる農夫のオーウェン・ラーズ役で注目を浴び、また『ブラック・スキャンダル』ではジョニー・デップ演じるマフィアに翻弄される捜査官を演じたりなど、その素朴な容貌から、どちらかというと地味な役にまわる、“いぶし銀”という言葉が似合う俳優だ。

 だが、劇場長編作品を初監督し、主演も果たした『ザ・ギフト』では、異様な行動によって、ある夫婦を脅かし続けるという、何を考えてるのか読みとりにくい不気味な男を演じることで強い印象を残した。そして、続く劇場長編2作目である本作でも、ある教会が行う異常なプログラムを主導し、参加者の人間性を高圧的に変えようとカウンセリングをする牧師の役をエキセントリックに演じている。

 この2作に共通するのは、社会や日常のなかに潜む“闇”である。誰かにとっては順調に見える環境が、他の誰かの目には地獄のように映っている。大勢の思う“普通の世界”からあぶれてしまった人々は、この社会に何を感じ、何を思うのか。ルーカス・ヘッジズが演じる、ある一人の少年を主人公にした本作は、迫害され孤独に陥る存在に対して、共感を持って寄り添っていく。

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