『イノセンス 冤罪弁護士』坂口健太郎が見せた名演技 藤木直人と市川実日子のやり取りにも注目

 「拓がなぜ冤罪事件を追うのか」という謎も前回から少しずつ明らかになってきている。拓の大学時代の先輩で科学者の秋保(藤木直人)が語ったのは、拓の性格は“科学者向き”だということ。

 この“科学者向き”というのは、自らを現場畑の人間だと述べた雲仙とも重なる点かもしれない。医療の最前線で患者を救い続けることと、病院の未来を見据えて改革のためにうまく立ち回っていくこと。科学的に真実を明らかにすることと、それを法廷の場で裁判官と被疑者、あるいは被害者遺族へと伝えていくこと。雲仙は、病院の次代を背負うであろう磐梯に改革を託した一方で、拓は科学者向きの人間でありながら弁護士の世界へ足を踏み入れたというのも対比としておもしろい点だ。それだけに、自分が変えないといけないという切迫した思いがあったのだろう。彼が変えようとしているのは、父親なのか、あるいは社会や法曹界などもっと大きな何かなのか。それは今後じっくりと丁寧に描かれていくはずだ。

 拓に加え、未だ感情を隠し続ける秋保もまた、ミステリアスで独特の魅力を放っている。シリアスな展開にもコメディ要素を欠かさない本作であるが、今回は聡子(市川実日子)とのやりとりが物語のアクセントに。どちらもSっ気のあるふたりのやりとりは、ハラハラしつつも愛らしく、見ていて楽しい。回を追うごとにキャラクターの深みが明らかになっている本作。役者のかけあいにも今後注目していきたいところだ。

■原航平
編集/ライター。1995年生まれ。映画、ドラマ、演劇など、とにかく物語と役者に興味津々。大学時代の卒業論文の題材は「疑似家族を描く日本映画について」。
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■公開情報
土曜ドラマ『イノセンス~冤罪弁護士~』
日本テレビ系にて、2019年1月19日(土)スタート(初回15分拡大スペシャル)
出演:坂口健太郎、川口春奈、藤木直人、趣里、杉本哲太、市川実日子、志賀廣太郎、小市慢太郎、正名僕蔵、赤楚衛二、草刈正雄
脚本:古家和尚
音楽:UTAMARO Movement
音楽プロデュース:岩代太郎
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:荻野哲弘、尾上貴洋、本多繁勝(AXON)
演出:南雲聖一、丸谷俊平
制作協力:AXON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/innocence/

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