長澤まさみの堂々たるヒロインぶり 『マスカレード・ホテル』には全魅力が結集
豪華俳優陣が集った映画『マスカレード・ホテル』で、その中心に立っているのが、木村拓哉と長澤まさみだ。稀代のエンターテイナー・“キムタク”を相手に、長澤はどう挑んでいるのか。本作では、これまでに彼女が様々な角度から見せてきた魅力たちが結集している印象を受けた。
30代へと突入し、年々魅力を増すばかりの長澤は、未だに果敢な挑戦を止めることはない。ここ数年の活躍を振り返ってみると、巨匠・降旗康男監督による大作『追憶』(2017)や、世界から注目を浴びる黒沢清監督の『散歩する侵略者』(2017)、多くのCMを手がける中江和仁監督のデビュー作となった『嘘を愛する女』(2018)など、巨匠から気鋭の監督までの作品に見事にフィット。その中心に立ち、多くの映画ファンを唸らせた。
しかしそういった作品でけでなく、『タッチ』(2005)や『ラフ ROUGH』(2006)、『潔く柔く』(2013)や『アイアムアヒーロー』(2016)での長澤の姿が思い出されるように、『BLEACH』(2018)や『銀魂』シリーズ(2017-2018)、さらに今後は『キングダム』など、漫画実写化作品でも最前線でのアクティブな活躍を彼女は続けている。観客たちの多くにキャラクターの確たるイメージがある以上、「再現度」の高さも求められ、この手の作品にはまた違った演じることの難しさがあるのではないだろうか。
さらにこのところ好調なのが、彼女のコメディエンヌぶりである。先述した『銀魂』シリーズなどの福田雄一監督によるラブコメ『50回目のファーストキス』(2018)や、好評を博した月9の主演ドラマ『コンフィデンスマンJP』(2018・フジテレビ系)などで、どちらかといえば大胆な、振り切れた彼女のコメディセンスを確認することができるのだ。