中村勘九郎×綾瀬はるかのピュアな青春模様が眩しい 『いだてん』四三が“マラソン”と出会う
東京での寮生活になかなか馴染めない四三は夏休みに実家へ帰省する。そこで幼馴染のスヤと再会した四三。彼女の言葉に励まされる四三だったが、四三の母・シエ(宮崎美子)からスヤが女学校を卒業後見合いをするという話を聞かされ、四三の表情は途端に暗くなる。暗い気持ちを振り切るように畑仕事に取り組む四三は、女学校卒業後の話をしたがらなかったスヤの姿を思い浮かべていた。
しかし四三が乗った電車の横をスヤは自転車で駆けてきた。スヤの姿を見つけた四三の明るく嬉しそうな表情が印象に残る。「四三さん、お達者で」「自転車節ば歌ってね!」そう声に出して四三を見送るスヤに大きな声で返事をする四三。前回も今回も、スヤとの交流が四三の背中を押した。中村勘九郎も綾瀬はるかも、実年齢より一回り若い役を演じているが、10代のピュアな青春模様を見事に体現していた。素直で純朴な四三と明るく朗らかなスヤの関係性は、序盤の大きな見どころとなりそうだ。
東京へ戻ってきた四三は、その日たまたま天狗倶楽部による運動会と遭遇する。マラソンという競技をはじめて知った四三は、自分にとって移動手段でしかなかった走ることに対して「走りたいから走る存在」がいることを知り衝撃を受ける。ランナーを興奮した様子で応援する四三からは、熱中できることを見つけた喜びがひしひしと伝わってくる。
勘九郎は四三の苦悩や興奮など彼の幅広い心情を見事に演じている。その表情豊かな表現のおかげで、素直で純朴な四三のキャラクター像が視聴者に届いていることだろう。
■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。
■放送情報
『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
[NHK総合]毎週日曜20:00~20:45
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00~18:45
[NHK BS4K]毎週日曜9:00~9:45
作:宮藤官九郎
音楽:大友良英
題字:横尾忠則
噺(はなし):ビートたけし
出演:中村勘九郎、阿部サダヲ/綾瀬はるか、生田斗真、杉咲花/ 森山未來、神木隆之介、橋本愛/杉本哲太、竹野内豊、 大竹しのぶ、役所広司
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/idaten/r/
写真提供=NHK