深田恭子の姿に自分自身を重ねるはず 『初めて恋をした日に読む話』は誰にとっても“青春物語”に
深田恭子主演の火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)が、いよいよ今夜スタートする。本作は、隔月刊『クッキー』(集英社)で連載中の、持田あきによる同名漫画を原作としたラブコメディ。人生なにもかもうまくいかない残念アラサー女子が、気づいたらタイプの違う3人の男性から想いを寄せられるという、まさに少女漫画的展開。しかも、主人公の残念アラサー女子・春見順子を演じるのが、年齢を重ねてもキュートさを失わない深田恭子となれば、甘すぎて、もう……と、思わず斜に構えてしまったのは筆者だけではないのでは?
しかし、先日行われた完成披露試写会で、一足先に第1話を見て、食わず嫌いをしなくてよかったと思った。もちろん少女漫画原作ドラマらしい、うれしい偶然があちこちで起こる。でも、それを「ご都合主義だ」と、目くじらを立てることがナンセンスだと思わせるほど、心をはずませるストーリー展開なのだ。
もしかしたら、「現実はそうはいかない」などとブレーキをかけてしまう感覚は、「恋もできない大人になっちゃった」と嘆く順子のように、「ドラマを楽しめない大人になっちゃった」に近いものなのかもしれない。心がウキウキする感覚を素直に楽しむ方法を忘れてしまってはいないか、そんな気づきも教えてくれるような気がする。
そして何より惹かれたのは、笑って泣いてキュンキュンするという王道のラブコメディという甘いクリームをまとった中に、主人公が自分自身を育て直す成長物語、というビターな部分が見え隠れする点だ。その隠し味が、大人の視聴者にとってはグッとくるものがある。
親の引いたレールに外れることなく走ることを目標にしてきた順子。しかし、大学受験で初めての脱線を経験。「恥ずかしい」「みっともない」「子育てを失敗した」と親に見放され、どのように自分の人生を歩んで良いのかわからなくなってしまった。気づけば、一度も人をちゃんと好きになったことがない。自分のやりたいことも見つからないまま、大人になってしまったと自覚するところから物語は始まる。
「このままときめくこともないまま、終わっちゃうのかな?」。そうした不安は、しくじった経験がある人はもちろん、引かれたレールの上を順調に進んできた人であっても、誰もがどこかで感じる不安ではないだろうか。自分の人生は一度きり。後悔しないように、と歩み進めてきても、“あのとき、こうだったら”、”もっと頑張っていたら”というのは、人生にはつきものなのだから。
そんな順子が出会うタイプの異なる3人の男性は、それぞれ一長一短ともいえる個性の持ち主たち。もしかしたら、どの相手に惹かれるかによって、視聴者自身が求めている人生の大切なものにも気づけるかもしれない。