クドカン率いる『あまちゃん』チームが再集結! 『いだてん』落語を通した“笑い”の視点

 そして、若き日の志ん生の師匠・橘屋円喬を、宮藤の師匠にあたる大人計画・主催の松尾スズキが演じることも見逃せない。松尾は脚本を読んで、宮藤が円喬と孝蔵(志ん生)の関係を、「僕と宮藤君自身の関係に重ねていると感じました」と『NHK大河ドラマ・ガイド いだてん 前編』(NHK出版)の中で語っている。

 狂言回しであり、おそらく宮藤の心情がかなり投影されるであろう、志ん生を中心とした落語家周辺の話には、宮藤の自伝的要素が入るのではないかと思う。

 おそらく本作は、1940年の幻の東京オリンピックを挟んで、1964年の東京オリンピック向かっていく日本を通して、2020年の東京オリンピックへと向かう現在の日本を、照らし返すような作品になるのではないかと思う。その意味で、今後の日本を占うかのような、大きな構えの作品だと言えるが、そういった作品を描く際に落語という「笑い」の視点を用いるのは、実にクドカンドラマらしい。

 戦国時代や幕末ではなく、明治から昭和にかけてという現代を大河ドラマで描くこと自体、画期的なのだが、それ以上に“笑える大河”が毎週放送されることが、何より楽しみである。 

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■放送情報
『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
1月6日(日)放送スタート
※初回60分拡大
[NHK総合]毎週日曜20:00~20:45
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00~18:45
[NHK BS4K]毎週日曜9:00~9:45
作:宮藤官九郎
音楽:大友良英
題字:横尾忠則
噺(はなし):ビートたけし
出演:中村勘九郎、阿部サダヲ/綾瀬はるか、生田斗真、杉咲花/ 森山未來、神木隆之介、橋本愛/杉本哲太、竹野内豊、 大竹しのぶ、役所広司
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/idaten/r/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる