「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『来る』

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、大学時代に恐怖の心霊体験をした宮川が『来る』をプッシュします。

『来る』

 第22回日本ホラー小説大賞を受賞した澤村伊智の小説『ぼぎわんが、来る』を、『告白』『渇き。』などの中島哲也監督が実写映画化した本作の主人公は、岡田准一が演じるオカルトライターの野崎。身の回りで超常現象としか言い様のない怪異な出来事が連続し、妻・香奈と幼い一人娘・知紗に危害が及ぶことを恐れているという“イクメンパパ”田原の相談を受けた野崎は、強い霊感を持つキャバ嬢の真琴や、真琴の姉で国内一の霊媒師である琴子らと共に、田原家に憑いている“何か”を止めるため奮闘する。

 本作の主演は岡田だが、彼が登場するのは映画がスタートしてしばらく経ったあと。3章構成でそれぞれに語り手が設定されている原作小説に則った部分もあるのだろうが、まずはその構成に驚かされる。序盤は田原家に憑いた“何か”の正体を明かす物語かと思いきや、岡田が演じる派手な柄シャツ姿でひげを生やしたオカルトライターの野崎をはじめ、ピンク色の髪のキャバ嬢(小松菜奈)、日本人形のようなロングヘアで顔に謎の傷を負った日本最強の霊媒師(松たか子)らインパクトのあるキャラクターが登場してから、次第にその読みは的外れだったことに気づかされていく。

 ナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』を想起させる、物語を結末に導くクライマックスの大掛かりな“儀式”はまさにエンターテインメントそのもの。サスペンスやホラーの要素ももちろんふんだんに盛り込まれてはいるが、本質にあるのは“霊的な怖さ”よりも“人間の怖さ”で、これまでの中島哲也監督の作品と地続きのテーマになっている。

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