伊藤健太郎と鈴木伸之の白熱した戦い 『今日から俺は!!』クライマックス目前にふさわしい緊張感

 原作の単行本が38巻まであるだけに、わずか10話しかないドラマ版ではどこまで描かれるのか気になっていたが、やはり千葉一の不良軍団・開久高校との対決が終盤のひとつのピークとなるわけだ(今のうちに言っておくが、2期を作ってもらいたい)。12月9日に放送された日本テレビ系列日曜ドラマ『今日から俺は!!』第9話。開久の番を張る智司(鈴木伸之)が、一向に三橋(賀来賢人)と伊藤(伊藤健太郎)と決着をつけないことにしびれを切らした相良(磯村勇斗)がクーデターを起こし、智司を引きずり下ろして軟葉高校に乗り込んでくるのだ。

 単細胞な智司を動かすために、相良が取った作戦はまず伊藤を潰すこと。開久のヤンキーを伊藤が汚い手を使ってボコボコにしたと嘘をつき、それを信じた智司が大勢で伊藤に襲いかかる。しかし、伊藤が汚い手を使ったことに半信半疑な智司。目を瞑ったままでの勝負を馬鹿正直に遂行する姿に、過去の自分を重ね、相良が嘘をついていたことに気が付くが時すでに遅し。伊藤とのタイマンで消耗した智司は、すんなりと相良に番の座を奪われてしまう。

 今回のエピソードの前半ほとんどを占めた、伊藤と智司の決闘シーンは、これまでで一番見応えがある喧嘩シーンと言ってもいいだろう。卑怯な手を使う三橋とは対照的な、徹底した頑固者の伊藤と、自分の力を信じる智司とのプライドが真正面からぶつかり合う白熱した戦い。これから始まる怒涛のクライマックスの幕開けにふさわしい緊張感と、智司の潔い引き際によって、相良という男の邪悪さがこれまで以上に強烈に映し出される。

 そんな相良が率いるようになった開久に、軟葉の生徒たちの切なる思いを胸に乗り込んでいった三橋&伊藤と、助っ人として召集された今井(太賀)と谷川(矢本悠馬)。4人を待ち受けていたのは狭い廊下にひしめき合う大量の開久軍団。少数精鋭で不利な中、華麗に現れる理子(清野菜名)ら軟葉の生徒たち。押され気味の中で、まんまと相良に近付き渾身の一撃を食らわす三橋。相良もなかなか卑怯な性分の持ち主ではあるが、番となってしまっては立ち回りも変えなくてはならないのは致し方あるまい。策士でありながらも腕っ節はまずまずの相良は、完全なる卑怯の塊である三橋に正攻法で挑んでしまったことが運の尽きとなったわけだ。

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