『大恋愛』戸田恵梨香とムロツヨシが手に入れた“夫婦の形” 試練乗り越えた2人が向かう未来とは
そこで、尚が公平にぶつけたアンサーが「対等かどうかなんてどうでもいい」ということであった。対等であるかは本質じゃない。尚のことを真司が小説にすること。実際に執筆するのは確かに真司である。ただ、真司は自分だけで書いたとは思っていないだろう。『脳みそとアップルパイ』も次回の新作も2人の“共作”。尚の言葉を借りれば、「他の誰にも真似できない、私たちだけの夫婦の形」なのだ。きっと、あのシーンで救われたのは公平だけではない。真司もまた尚の言葉で安心したはずだ。2人がはっきりと出すべき答えだったのだ。
ところで、公平の台詞の中には引っ掛かるワードが一つある。“永遠”。子どもたちから貰った蝶の標本を尚に見せた時、公平は「死ねば“永遠”に綺麗なままでいられるんだ」とつぶやいた。尚と公平の小説を書けと真司に迫った時には、「今度は僕たちの純愛をあんたが書けよ。美しく“永遠”になっていく結末まで」と言った。永遠を“綺麗なもの”、あるいは“美しいもの”とリンクさせる発想からは彼の悲哀が滲み出る。永遠ではなく、いつかは終わってしまうことに対する恐怖があるのかもしれない。彼の人生もまた“いつかは終わってしまうもの”の一つ。第8話で最後に放った「忘れたくないこともたくさんあるのにな……」という言葉に彼なりの葛藤が見え隠れする。
さて、いよいよ『大恋愛』もクライマックスに近づいていく。真司の新作や、2人の子どものことなど気になることが目白押しだ。大石静が描く怒涛の“大恋愛”の着地点が気になって仕方がない。
(文=國重駿平)
■放送情報
金曜ドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54
脚本:大石静
プロデューサー:宮崎真佐子、佐藤敦司
演出:金子文紀、岡本伸吾、棚澤孝義
出演:戸田恵梨香、ムロツヨシ、富澤たけし(サンドウィッチマン)、杉野遥亮、小篠恵奈、黒川智花、橋爪淳、夏樹陽子、草刈民代、松岡昌宏
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/dairenai_tbs/
公式Twitter:@dairenai_tbs