野村周平の器用さは、現場を“楽しむ”姿勢から生まれる ムードーメーカーとしても愛される魅力

野村周平の、現場を“楽しむ”姿勢

 深夜ドラマ『結婚相手は抽選で』(東海テレビ・フジテレビ系)が好評だ。少子高齢化に歯止めをかけるために、政府が「抽選見合い結婚法」を制定するという、非常に深夜ドラマらしくも、完全な絵空事として流すにはリアリティを帯びたテーマで、視聴者の興味のツボを刺激している。そこで潔癖症のオタク系主人公・龍彦を演じているのが野村周平だ。黒木華とW主演の映画『ビブリア古書堂の事件手帖』も公開スタートと、波に乗る野村の強みを探りたい。

 「スノーボード、スケートボード、BMX」が大好きと公言しているアウトドア派の野村。芸能界デビュー前にはスノーボード選手として、多くの大会で受賞経験を持つのは有名な話だ。2009年にアミューズによる全国オーディションでグランプリを受賞したことをきっかけに芸能界入り。2010年にドラマ『新撰組 PEACE MAKER』(MBS)、舞台『君の席は、僕の席』、翌年に映画『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』に出演し、順調に俳優街道を歩みだす。

 一般への認知度を上げたのは、NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』(2012年)の製鉄所の工員、佐藤光男役だろう。まだ若いながら、しっかりとした意見を持つ光男を好演して印象を残した。

 そしてドラマ『35歳の高校生』(日本テレビ系)『僕のいた時間』(フジテレビ系)『恋仲』(フジテレビ系)、映画『男子高校生の日常』『日々ロック』『映画 ビリギャル』『ライチ☆光クラブ』『ちはやふる』3部作、『森山中教習所』『帝一の國』などなど、主演を含め、多くの話題作への出演を重ねていった。

 上記の抜粋からも分かるが、野村は役柄の幅が広い。しかもいわゆる普通の青年と呼ばれる役にも幅がある。キャラクターの立った役柄のほうが観る者に与えるインパクトは強いものだが、野村は、そうではないところでも勝負ができる。

 たとえば舞台版やアニメ版も高い人気を誇る、醜い大人になることを拒む14歳の少年たちのいびつな青春群像劇を見つめる『ライチ☆光クラブ』では、光クラブのリーダーのゼラ(古川雄輝)を筆頭に、個性的なキャラクターが集まるなか、野村は光クラブをゼラに乗っ取られた元リーダーである控えめな普通の少年・タクヤとして主演を務めた。この普通の少年という役回りでの“主演”には難しさが要求されたはずだ。しかし、野村は、まったく気負いを感じさせずに、自然に中心に立ってみせた。

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