『アンダー・ザ・シルバーレイク』監督が語るLAとポップカルチャー 「映画自体が僕にとっては非常に大切」

『アンダー・ザ・シルバーレイク』監督が語る

 アンドリュー・ガーフィールドが主演を務めた映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』が10月13日より公開された。セレブやアーティストたちが暮らすロサンゼルスのシルバーレイクを舞台に、消えた美女を探すうちに、街の裏側に潜む陰謀を解明することになるオタク青年の暴走と迷走を描いたネオノワール・サスペンスだ。

 今回リアルサウンド映画部では、メガホンを取ったデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督にインタビュー。デビュー作となった『アメリカン・スリープオーバー』、大ヒットを記録した『イット・フォローズ』、そして本作と、作品ごとに異なるジャンルに挑む監督の素顔に迫った。

「僕にとってロサンゼルスは、愛してもいるし軽蔑もしている場所」

ーー『アメリカン・スリープオーバー』と『イット・フォローズ』はあなたの地元であるデトロイトが舞台になっていましたが、今回の作品はロサンゼルスが舞台になっていますね。

デヴィッド・ロバート・ミッチェル(以下、ミッチェル):僕はミシガンの生まれだけど、ロサンゼルスにも何年も住んでいて良く知っているから、そこを舞台にするのは自分にとってはとても自然なことだったんだ。僕にとって、ハリウッドももはや一つの故郷。実際住んでいると、街の中にはダークな面もあると思うし、そのダークな面は、アメリカ全体のダークな部分が反映されているようにも感じるんだ。それは住んで分かってきたことだね。また、ロサンゼルスはすごく分断された都市だとも思う。非常に豊かで名声を持っている人たちが住んでいるヒルサイドと、生活に苦しんでいる人々が住むエリアと、ハイアンドローな部分がある。本作は、フィルム・ノワールのスタイルを取っているが、リッチなサイドとそうでないサイドを行ったり来たりするのに、あるいはこの都市のいろいろな部分を動いて見せるのに、このノワールというスタイルがすごく合っていると思ったんだ。

ーーロサンゼルスはあなたにとっても重要な都市であると。

ミッチェル:僕にとって、美しくもあり醜くもあって、愛してもいるし軽蔑もしている場所だね。おそらく多くの人がロサンゼルスに対して同じ気持ちを持っているんじゃないかな。僕は自分の人生を、映画というアートフォームを作ることに捧げている。それほど映画が大好きなんだ。ロサンゼルスという街は、映画史のいろいろな時代と深く関わり、映画とは切っても切れない縁がある。だから、映画の中心である都市という意味でも、ロサンゼルスは僕にとって魅惑的なんだ。必ずしもロサンゼルスの映画界で起こっていることが好きとは限らないけど(笑)、映画自体が僕にとっては非常に大切なんだ。

ーー物語は様々な要素が絡み合った複雑なものになっていた印象です。脚本を書き上げる過程でどのようなことを重視したのでしょう?

ミッチェル:説明するのがとても難しいんだけれども、「ロサンゼルスのリッチなサイドには何が起こっているのか」と疑問に感じたところから本作のアイディアは始まったんだ。劇中に出てくる作曲家が登場するシーンが最初に浮かび、そのシーンに自分自身がインスピレーションを受けて、脚本を練っていったよ。

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